再発リスク低減のためのトレーニング法
編集部
肩関節脱臼では、どのような手術が行われるのですか?
守重先生
関節鏡を用いて、脱臼を防ぐ役割のある関節唇を修復する、「Bankart(バンカート)修復術」が一般的です。低侵襲で、再脱臼のリスクを下げる効果が期待できます。
編集部
ほかには、どのような選択肢がありますか?
守重先生
ラグビーやアメリカンフットボールのように肩への負荷が非常に大きい競技だったり、脱臼を繰り返すことによって骨の形態が変わってしまったりといったケースでは、Bankart修復術のみだと再脱臼のリスクが高くなることがあります。骨の形態が変わってしまったケースなどでは、肩甲骨の一部である烏口突起(うこうとっき)を用いる「Bristow(ブリスト)法」や「Latarjet(ラタジェ)法」を選択することもあります。
編集部
術後についても教えてください。
守重先生
手術を受けたからといってすぐに競技復帰できるわけではなく、その後のリハビリテーションが非常に重要です。特に、術後3カ月までは修復部位は癒合していないので、注意しながらリハビリテーションを進める必要があります。可動域や筋力を段階的に回復させ、肩に過度な負担がかからないよう調整したとしても、スポーツへの本格的な復帰には、半年以上かかるケースがほとんどです。
編集部
再発リスクを下げるために、どのようなトレーニングが必要でしょうか?
守重先生
肩だけでなく、背骨の動きや肩甲骨の固定性を改善し、腱板などのインナーマッスルを十分に強化することですね。肩関節の知識だけでなく、各競技の特性にも詳しい理学療法士などから、術後のリスクを踏まえた運動指導や外転・外旋位を避けるための動作指導を受けることで、再発の不安なく競技に復帰できる状態を目指します。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
守重先生
脱臼を2回以上繰り返した若い人の場合、保存療法のみで再脱臼を完全に防ぐことは非常に困難です。脱臼を繰り返すたびに骨の形が変形し、手術が複雑になり、肩のコンディションは徐々に悪化していきます。すでに2回以上脱臼している人は、状態が悪くなる前に早めの手術をおすすめします。
編集部まとめ
肩関節脱臼は構造上再発しやすい外傷ですが、初回対応や治療の選択、リハビリテーションの質によって将来の経過は大きく変わります。脱臼を繰り返している人や不安を感じている人は、早めに専門の医師へ相談し、自分に合った治療と再発予防に取り組むことが大切です。
参考文献
「反復性肩関節脱臼」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる

