
家族の中で、自分だけが消えていく
主人公の楠木胡桃(43歳)は専業主婦。夫で会社員の雅人(48歳)と、長女の莉央(高3)、長男の遥也(中3)の4人暮らしです。高校時代の友人もいて、何不自由なく生活しているものの、夫も子供達も、最近自分の意見を聞き入れてくれません。目下の悩みは遥也の不登校ですが、それについての相談も夫は聞く耳を持たず、母親が甘やかすから、の一点張り。自分の存在意義がわからなくなっていく胡桃の前に、ある日、ひとりの男性が現れるのです。

「私は絶対ママみたいになりたくない!」
遥也の不登校は原因不明で、胡桃は困惑するばかり。夫に解決策を提示しても相手にしてもらえず、つい莉央に愚痴を言ってしまうと、「八つ当たりしないで」と罵倒される始末。あげくとどめの一言が、胡桃の胸をえぐります。「私は絶対ママみたいになりたくない!」
妻、母として必死に生きてきた自分の、いったい何が悪かったのか。寂れた公園のベンチで、ひとり涙する胡桃に、缶コーヒーをごちそうしてくれた男性。
これが、久我匠(42歳)との出会いでした。運送業の匠は、仕事の合間の息抜きに、ここへ訪れていたのです。既婚者で子供がひとり、家庭は妻中心で回り、境遇も胡桃と似ています。やがて胡桃と匠は、1日のうちで数分、ここで逢瀬を重ねるようになるのです。






















