帰ったら……マロンちゃんがいない!
そんな中、決定的な出来事が起こります。ある日、仕事から帰宅すると、部屋には祐介さんの姿も、マロンちゃんの姿もありませんでした。「マロンが心配で心配で、心臓がバクバクしました。祐介に連れ出されてしまった? どうしよう? すぐに祐介へ何度も電話しましたが、出ませんでしたね」
連絡が取れないまま眠れぬ夜を過ごし、迎えた翌朝。思いがけない相手から電話がかかってきました。「祐介のお母さんからでした。お母さんとは何度か食事をしたことがあって連絡先を交換していたんですよ。お母さんは困ったように『祐介が猫ちゃんを連れてきたんだけど、私は猫アレルギーだから苦しくてたまらないの。よかったら祐介が寝ている間に迎えに来てくれない?』と言われて。もちろんすっ飛んで行きました」
「せっかく俺と駆け落ちしたのに!」
祐介さんは、猫アレルギーの母親が暮らす実家に、マロンちゃんを無断で連れ出していたのです。当然、茉里さんへの連絡は一切ありませんでした。無事にマロンちゃんを引き取ることができ安堵した茉里さんでしたが、もはや元の部屋に戻る選択肢はなかったそう。
「仕方がないので、私もしばらく女友達の部屋に、マロンちゃんと一緒に身を寄せさせてもらうことにしたんですよ」
すると今度は、目を覚ました祐介さんから烈火のごとく怒り狂った電話がかかってきたといいます。
「マロンを勝手に連れ出したな? せっかく俺と駆け落ちしたのに!」
現実を直視しないその言葉に、茉里さんは強く言い返しました。
「『お前が勝手に連れ出しただけだろ?』と切ってやりました。駆け落ちとか言って自分勝手に盛り上がって、マロンの気持ちも考えずに連れ回して、心底腹が立ちましたね」

