膝の「パキッ」と腫れは要注意! 『前十字靭帯損傷』の初期症状【医師監修】

膝の「パキッ」と腫れは要注意! 『前十字靭帯損傷』の初期症状【医師監修】

治療と競技復帰までの流れ

治療と競技復帰までの流れ

編集部

前十字靭帯損傷と診断された場合、どのような治療をするのですか?

間瀬先生

治療方針は、損傷の程度だけでなく、年齢、日常生活での不自由さ、スポーツ活動の有無、競技レベル、不安定感の強さ、半月板などの合併損傷の有無を踏まえて決めます。活動強度が日常生活レベルで、膝の不安定感が強くない場合には、装具やリハビリテーションを中心とした保存療法を選ぶこともあります。一方、スポーツへの復帰を目指す人や、切り返し・ジャンプ動作の多い競技を行う人、不安定感が続く人の場合、手術療法(再建術)を勧めることが多い傾向にあります。

編集部

手術は、どのように行われますか?

間瀬先生

一般的には、切れてしまった前十字靭帯を縫い合わせるというより、患者さん自身の腱を使って新しい靭帯を作る「再建術」を行います。移植する腱としては、ハムストリングス腱や膝蓋(しつがい)腱などが使われます。手術は関節鏡で行うことが多く、通常の手術と比べ比較的小さな傷で行えるのが特徴です。

編集部

手術後はリハビリも必要なのでしょうか?

間瀬先生

前十字靭帯の治療では、手術そのものと同じくらいリハビリが重要です。術後は腫れを抑えながら可動域を回復し、太ももの筋力やバランス、片脚での動作、着地動作などを段階的に整えていきます。競技復帰の時期は一律ではありませんが、目安としては6~9カ月、競技種目や回復状況によってはそれ以上かかることもあります。大切なことは「何カ月たったか」だけではなく、筋力や動作の評価を満たしているかどうかです。無理に早く復帰すると再断裂のリスクが高まるため、焦らず段階を踏むことが重要です。

編集部

ほかに、術後の生活で気を付けた方がよいことなどあれば教えてください。

間瀬先生

術後は「痛みが減ったからもう大丈夫」と自己判断しないことが大切です。特に注意すべき点は、自己流で運動量を増やしすぎない、膝の腫れや熱感が強いときは無理をしない、通院やリハビリを中断しない、主治医や理学療法士の許可なくジャンプや切り返し動作を始めないことですね。また筋力だけでなく、着地や方向転換のフォーム改善も再断裂予防には重要です。日常生活に戻れたとしても、スポーツ復帰には別の基準が必要だと考えてください。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

間瀬先生

前十字靭帯損傷は、痛めた直後に適切な対応ができるかどうかで、その後の回復やスポーツ復帰に大きな差が出るけがです。「少し休めば治るだろう」と自己判断してしまう人も少なくありませんが、膝が急に腫れた、抜ける感じがある、方向転換が怖いといった症状があれば、早めに整形外科、できればスポーツ障害の治療に詳しい医療機関を受診してもらいたいと思います。早期に正確な診断を受け、適切な治療とリハビリを進めることが、将来の膝を守ることにつながります。

編集部まとめ

膝から「パキッ」という音がし、急速な腫れや不安定感がある場合は前十字靭帯損傷の可能性があります。痛みが軽減しても油断せず、早期にスポーツ障害に詳しい医師の評価を受けることが将来の膝、ひいては競技パフォーマンスを守るために重要です。適切な診断と治療、段階的なリハビリによって、安全な競技復帰を目指すことができます。

配信元: Medical DOC

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