GW明けに会社に行きたくないーー。そんな風に考える会社員の方も少なくないと思います。一方で、辞める意思を自分で会社に伝えるのは気が重く、他の人にやってもらえないかと考える人もいるでしょう。
一般的にも、GW明けは、退職代行への依頼も増える時期のようです。連絡を代わりに行ってくれる便利なサービスですが、本来請求できるはずの権利を知らないうちに失ってしまう危険性も。どういうことなのか弁護士が解説します。
●退職は自分でもできる
まず大前提として、退職は自分でもできます。退職の意思を会社に伝えるだけです。
会社が応じればすぐに退職できますし、そうでなくても一方的な申し入れにより、2週間経過すれば退職できます。
民法627条1項は、期間の定めのない雇用契約(正社員など)について、「雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」と定めています。
労働基準法などでは別の定めがありますが、これは労働者を保護するために使用者側からの解雇を制限するためのものです。労働者側からの解約申し入れは民法の原則どおり2週間です。
なお、就業規則などで「1カ月前に申し入れなければならない」とされている場合も、争いはありますが、退職自体は2週間前の申し入れで可能と考えられています(福岡高裁平成28年(2016年)10月14日判決参照)。
つまり、期間の定めのない雇用契約の場合、退職の意思を会社に伝えてから2週間後には、辞めることができます。
●民間業者には「交渉」ができない
退職代行サービスには、大きく3種類あります。弁護士(法律事務所)、労働組合、そして民間業者です。
弁護士でない者が、報酬を得る目的で、他人の法律事務を業として取り扱うことは禁じられています(弁護士法72条)。これを「非弁行為」といいます。
この法律の趣旨は、シンプルに言えば依頼者を守ることにあります。
弁護士は、守秘義務や懲戒制度など、厳しいルールに縛られて仕事をしています。ところが、そうしたルールを適用されない人が報酬をもらって法律問題に首を突っ込むと、依頼者に損害を与えても、責任を追及する仕組みが働きません。
また、法律事務を右から左に回して紹介料や手数料を抜くような仕組みを放置すれば、本来であれば依頼者が直接弁護士に払えば済んだはずのお金に、余計な中間マージンが上乗せされて、依頼者の負担だけが膨らんでいくことになります。
この制限のため、民間業者にできるのは、退職の意思を会社に「伝えること」だけです。未払い賃金・残業代の請求や、有給休暇の取得交渉は「法律事務」にあたるため、行うことができません。
こうした業務を民間業者が行うと、弁護士法違反(2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)になるおそれがあります。
労働組合型の退職代行であれば、交渉はできるとされていますが、この場合でも紛争になった場合に依頼者を代理して活動することはできません。

