鳴り止まない通知に心身ともに追い詰められた真理は、夫の祥吾に胸の内を吐露する。夫との対話を通じて、「縁を切りたいわけではなく、適切な距離を置きたい」という自分の本音に気づき、真実を伝える決意をする。
この吐き気はつわりだけじゃない…
それから3日間、私は沙織からのラインをスルーし続けてしまいました。
送られてくるのは、赤ちゃんの動画や「まだ返事ないけど、体調悪いの?」という、心配を装った催促の嵐。通知が鳴るたびに、心臓がキュッと締め付けられるような感覚に襲われます。
「真理、顔色が悪いよ。やっぱり、沙織さんのこと?」
仕事から帰宅した祥吾が、台所で立ち尽くしている私に声をかけました。
「……うん。返事しなきゃいけないのに、スマホを見るだけで吐き気がするの。悪阻のせいだけじゃなくて、精神的に。私、最低だよね。あんなに良くしてもらったのに、今、彼女のことが大嫌いになりそう」
私は我慢できず、リビングの椅子に座り込みました。
「お祝いしたい気持ちはあるの。でも、ウェルカムボードの件も、アポなし訪問の件も、全部が積み重なって……。彼女にとって、私は『自分の幸せを盛り上げるための観客』でしかないんじゃないかって思っちゃうの」
夫の問いかけ
祥吾は静かに私の隣に座り、じっと話を聞いてくれました。
「真理、シンプルに考えてみて。君は、これから彼女とどういう関係になりたいの?」
私は自分自身に問いかけるように、一言ずつ言葉を選びました。
「……完全に縁を切りたいわけじゃない。彼女は慎吾をかわいがってくれたし、根はいい人だから。でも……今の、この『ゼロ距離』の付き合いは無理。一歩踏み込まれすぎると、息ができなくなる」
「つまり、適切な距離を置きたいってことだね?」
「そう。毎日ラインして、月一で家族で会って……っていうんじゃなくて。もっとたまに、お互いのタイミングが合う時だけ、近況報告するくらいの関係になりたい」

