消えない想いと深まる戸惑い
家族のことを想ってくれているのは、伝わってくる。悠斗のことも、ちゃんと気にかけてくれている。
それなのに、どうしてそこまでして、離婚にこだわるのか。
私にはまだ、夫の心がわからなかった。
スマホを握りしめたまま、私はしばらく動けなかった。
優しさと、拒絶が、同時に突きつけられているようだった。
会いに来てくれたこと。
プレゼントを置いていってくれたこと。
そのひとつひとつが、まだ繋がっている証のように思えてしまう。
でも、その先は、決して踏み込ませてくれない。
「……そんなの、ずるいよ……」
ぽつりと、言葉がこぼれた。
期待してしまう。
まだやり直せるんじゃないかって。
でもそのたびに、「離婚」という言葉で突き放される。
私はどう受け止めればいいのか、わからなかった。
夜、悠斗が寝たあと。
ひとりでリビングに座りながら、私は何度もメッセージのやり取りを見返していた。
恒一は、何を考えているのだろう。
私たちのことを想ってくれているのは、確かだと思う。
でも同時に、もう一緒にはいられないとも言い切る。
その矛盾が、どうしても理解できなかった。
「……どうしたらいいの……」
答えは、どこにもない。
ただ、不安と悲しみだけが、静かに積もっていく。
気づけば、目の奥がじんわりと熱くなっていた。
それでも、私はまだ、諦めきれずにいた。
あとがき:優しさと拒絶のあいだで
会いに来てくれたのに、ドアを開けられなかった。
その後悔と、残された優しさ。
今回のエピソードでは、「まだ繋がっている」と感じさせる行動と、「それでも一緒にはいられない」という強い拒絶が同時に描かれています。
人の気持ちは、単純ではありません。
大切だからこそ離れる選択をすることもあれば、想っているからこそ距離を取ることもある。
だからこそ、受け取る側は混乱し、期待し、そして傷ついてしまうのかもしれません。
この先、ふたりがどんな選択をしていくのか。
その揺らぎを、丁寧に追っていきます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。
記事作成: tenkyu_writing
(配信元: ママリ)

