
文部科学省の2024年度の調査によると、全国の小中学校で不登校となった児童生徒数は約35.3万人を超え、12年連続で増加して過去最多を更新しています。
「学校へ行くことがすべてじゃない」。そう頭では考えられても、我が子の不登校を受け入れることは容易ではありません。
とーやあきこさんが描く『娘に死にたいと言われました 不登校の理由』は、そんな親子の葛藤を痛々しいほどリアルに描き出したコミックエッセイです。出口の見えない暗闇の中で、母と娘はどのようにして光を見出したのでしょうか。まずは本編のあらすじをご紹介しましょう。
娘の何気ないひと言で、一変した日常

どこにでもいる、穏やかに暮らす一家の日常は、ある日を境に一変します。小学5年生の娘・真奈が、何の前触れもなく学校へ行かなくなったのです。始まりは、彼女が呟いた「死にたいかも」という一言でした。



成績優秀で友だちも多く、親とも良好な関係を築いていた娘がどうして…。母の千紗は、担任の先生やママ友に話を聞いたりして原因究明に奔走します。理由がわからないまま、娘が学校に行かない日が続き、焦りは募るばかり。それでも「真奈のために」と、無理やり学校に行かせず、理由を問い詰めず、前向きに明るく接していました。


一度は親友が家を訪ねてきたのをきっかけに、学校へ行くことができた真奈ですが、事態は悪化。家に帰ってくるなり部屋に引きこもり、暴言まで吐くようになって…。

「学校へ行かせる」ために奮闘する母親・千紗と、自分ですら理由もわからず「学校へ行かない」という現実の中で心を閉ざす娘・真奈。次第に、親子の衝突は増えていきます。

子どもが発するSOSを見過ごさないために、大人は何ができるのでしょうか。
この作品について、著者のとーやあきこさんにお話を伺いました。
理想の型にハマらず、子どもと笑って過ごせる毎日を
――作中で真奈が発した「居場所がない」という気持ちは、子どもだけでなく大人も感じることですよね。不登校になる可能性は、誰しも大いにあるのだと本作を読んで感じました。子どもたちが少しでも安心して、元気に学校へ行くために、私たち大人にできることはなんだと思いますか?
とーやあきこさん:難しいですね…。「何でも話せる親子関係を築くこと」「生活リズムを整えること」「勉強の遅れがないかを確認すること」など、模範解答はあります。でも、理想通りにいかないのが子育てです。
子どもが不登校になってしまうと、「自分の子育てが間違っていたんだ…」と親が自分自身を責めることに繋がってしまうこともありますよね。それを考えると、「とりあえず子どもと一緒に笑って毎日を過ごそう~」という、ふわっとしたスタンスでいることも、ひとつの手段かもしれないな、と思います。


――とーやさんご自身は、もしお子さんが不登校になった場合、どのような対応をすると思いますか?
とーやあきこさん:作品の中で母の千紗が取る言動は、「もし自分だったら」という想像の中で描いたものでもあります。なので、人に頼ることなく、ひとりで抱えて、結局子どもとぶつかり、追い込んでしまう…という、千紗の姿そのままになる気がします。
――本作を描き終えて、「不登校」に対する認識や考え方は変わりましたか?
とーやあきこさん:不登校というと、いじめや友だちとのケンカ、勉強の遅れ、体調不良など、明確な原因があると思い込んでいたのですが、「自分でもなぜそうなったのかよくわからない」ということがあるのだと気付かされました。もしかしたら、子どもだからうまく言葉にできないということも関係しているのかもしれません。
それも含め、学校へ行けない原因は多岐に渡り、子どもひとりひとりのケアの方法も変わっていく、本当に複雑な問題だとあらためて感じました。



