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「あの一言」が引き金だった。夫婦のすれ違いの正体|夫が家出した話

「あの一言」が引き金だった。夫婦のすれ違いの正体|夫が家出した話

会いに来た恒一に恐怖心からドアを開けられず、すれ違いが続く里奈。変わらない離婚の意思に不安を募らせる中、里奈はあの日の夫婦喧嘩を振り返り始める。新生活の疲れの中で積み重なっていたすれ違いと、自分の言動に気づいた里奈は、関係修復のために向き合う決意を固めて...。

募る不安と、消えない違和感

母 不安

気づけば、恒一が家を出てから2週間が経っていた。

「ママ、パパは……?」

悠斗は、ふとしたときにそう聞いてくる。
そのたびに、私は言葉に詰まる。

「お仕事、忙しいみたいなんだ」

そう答えるしかなかった。

納得しているのか、していないのか。
悠斗はそれ以上は何も言わないけれど、どこか寂しそうな顔をする。
その表情を見るたびに、胸が締めつけられる。

夜、ひとりになると考えてしまう。
どうして、こんなことになってしまったのか。
どこで、間違えたのか。

恒一からのメッセージは、相変わらず淡々としていて、そして変わらず「離婚」の意思が綴られている。
その頑なさが、余計に私を不安にさせた。

すれ違いの積み重ねと、あの日の出来事

妻 怒鳴る

あの頃のことを、思い返す。

引っ越しをして、新しい生活が始まったばかりの頃。慣れない環境で、毎日がいっぱいいっぱいだった。
悠斗のこと、家のこと、細々とした手続き。
やることは山ほどあって、気が休まる時間なんてほとんどなかった。

恒一も仕事で疲れているのはわかっていた。
でも...

「これ、まだやってないの?」
「ちょっとくらい手伝ってくれてもいいじゃん」

気づけば、そんな言葉が口をついて出ていた。

本当は、責めたいわけじゃなかった。
ただ、少しでいいから余裕がほしかった。
誰かに頼りたかった。

でも、その気持ちをうまく伝えられなくて、
結果的に、不満や小言としてぶつけてしまっていた。

あの日も、そうだった。
恒一は先に寝室に入っていて、私はリビングで家事をしていた。
ようやく一息ついた頃、ふとイライラが込み上げてくる。

(なんで私ばっかり……)

そのまま寝室へ向かって、ドアを開けた。
恒一は、もう眠っている様子だった。
その顔を見た瞬間、抑えていた感情が一気にあふれた。

「ねえ、ちょっとくらい手伝うとかできないの!?」

思っていた以上に、大きな声が出た。
恒一が、はっとしたように目を覚ます。

「……なに?」

その一言に、さらに苛立ちが募る。

「こっちはずっとやってるんだけど。気づかないわけ?」

言葉を重ねるたびに、引き返せなくなっていく。
本当は、そんなふうに言いたいわけじゃなかったのに。
でも、止められなかった。

そのあと、言い合いになった。
何を言ったのか、細かいことは覚えていない。
ただ、お互いに感情的になっていたことだけは、はっきりしている。
気づけば、恒一は無言で立ち上がり、荷物をまとめ始めていた。

「ちょっと頭冷やしてくる」

そう言って出ていこうとする背中に、私は——

「勝手にすればいいじゃん」

そう吐き捨てた。

あのとき、引き止めることだってできたはずなのに。
ドアが閉まる音がしても、私は動かなかった。むしろ、そのまま鍵をかけてしまった。
まるで、自分から閉じ出すみたいに。

配信元: ママリ

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