向き合う覚悟と、小さな一歩
「……私のせいだよね」
ぽつりと、言葉がこぼれる。
余裕がなかったのは事実だと思う。
でも、それを理由にしていいわけじゃない。
恒一も、同じように疲れていたはずなのに、私は自分のことしか見えていなかった。
ふと、あのプレゼントのことを思い出す。
私と悠斗を思い、置かれたプレゼント。
それは直接会えなくても、彼がちゃんと私たちを想ってくれている証だった。
あの人は、家族をどうでもいいと思っているわけじゃない。
むしろ、大事に思ってくれているからこそ、あんな選択をしたのかもしれない。
「……ちゃんと、話さなきゃ」
逃げずに、向き合わなきゃいけない。
自分の至らなさも、あのときの言葉も。
全部、ちゃんと伝えたい。
そして、恒一が何を思っているのか、ちゃんと知りたい。
怖くないわけじゃない。
でも、このまま終わるのだけは、嫌だった。
私はスマホを手に取る。
何度も書き直して、消して、また打ち直して。
深く息を吸ってから、メッセージを送った。
《話がしたい》
たったそれだけの言葉。
でも今の私には、それが精一杯だった。
あとがき:「悪気はなかった」では済まないすれ違い
今回のエピソードでは、夫婦のすれ違いがどのように積み重なっていったのかが描かれました。
里奈は決して怠けていたわけでも、恒一を軽んじていたわけでもありません。
ただ、余裕のなさの中で「伝え方」を間違えてしまった。
そしてそれは、多くの家庭で起こり得ることでもあります。
大切なのは、「誰が悪いか」を決めることではなく、
「何が起きていたのか」を理解しようとすること。
里奈はようやく、自分自身と向き合い始めました。
この一歩が、ふたりの関係にどんな変化をもたらすのか。
次回はいよいよ、二人の選択が描かれます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。
記事作成: tenkyu_writing
(配信元: ママリ)

