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「帰りたい」その一言で、夫婦はもう一度向き合えた|夫が家出した話

「帰りたい」その一言で、夫婦はもう一度向き合えた|夫が家出した話

夫・恒一の家出から2週間。離婚の意思を示し続ける恒一に対し、里奈は過去を振り返る中で自分の至らなさと向き合い、「話がしたい」とメッセージを送る。少しずつやり取りを重ねる中で、夫婦の距離にも変化が生まれ始めるが...。

少しずつ近づいていった距離

スマホ 女性 微笑み

恒一が家を出てから、時間だけは静かに過ぎていった。
相変わらず、一緒に暮らすことはできていない。

けれど、不思議なことに完全に途切れることもなかった。
メッセージのやり取りは、細々と続いていた。

最初は、事務的な連絡ばかりだった。
必要最低限の言葉だけを交わすような距離感。
それが少しずつ、変わっていった。

《悠斗、今日こんなことがあってね》

そんな他愛もない話を送ると、短くても返信が来るようになった。
やがて、通話をするようになった。
最初はぎこちなかった会話も、少しずつ、以前のような空気を取り戻していく。

笑い合うことはまだ少ない。
それでも、「怖い」という感情は、確実に薄れていった。

そしてある日。恒一からのメッセージに、変化があった。

《離婚は、しない》

その一文を見たとき、思わず息を止めた。
画面を見つめたまま、しばらく動けない。

「……よかった……」

小さく呟いた声は、思っていたよりも震えていた。

「帰ってきて」と伝えるまで

スマホ 女性

それから、少しずつ距離が近づいていった。
お互いに、少しずつ言葉を選びながら。
でも、前よりもずっと素直に。

そんなある日、私はメッセージを打ちながら、手を止めた。
ずっと迷っていた言葉。
送っていいのか、何度も考えてきた言葉。
でも今なら、言える気がした。

私は深呼吸をしてから、打ち込む。

《恒一。とにかく、まずは家に帰ってきて》

送信ボタンを押したあと、胸がぎゅっと締めつけられる。
既読は、すぐについた。
けれど、返信は来なかった。

そのまま、1日、2日、3日……。
時間だけが過ぎていく。

「やっぱり……ダメだったのかな……」

不安が、じわじわと広がっていく。
言わなければよかったのかもしれない。まだ早かったのかもしれない。
そんな後悔が、頭をよぎる。

そして、四日目の夜。
ようやく、通知が鳴った。

《帰りたい》

たったそれだけの言葉。
でも、それだけで十分だった。

配信元: ママリ

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