爪の端が内側に丸まる巻き爪は、放置すると痛みや炎症が悪化し、歩行にも影響する爪のトラブルです。どんな症状があったら受診するべきなのか、また、受診しようと思っても、何科に行けばよいのかと迷う方は少なくありません。受診の目安や各診療科の特徴について、わかりやすく解説します。

監修医師:
江崎 聖美(医師)
山梨大学卒業。昭和大学藤が丘病院形成外科、群馬県立小児医療センター形成外科、聖マリア病院形成外科、山梨県立中央病院形成外科などで経歴を積む。現在は昭和大学病院形成外科に勤務。日本乳房オンコプラスティックサージェリー学会実施医師。
巻き爪で医療機関を受診した方がよい状態

巻き爪は必ず病院で治療する必要がありますか?
巻き爪は、湾曲爪ともいわれ、爪の端が内側に巻いている状態です。爪の変形だけではなく、爪の下の骨に変形を伴っていることがあります。痛みがなく、日常生活に支障がなければ、すぐに病院で治療を受ける必要はありません。
病院で治療した方がよいのはどのような状態ですか?
病院での治療が必要となるのは、主に以下のような症状が現れた場合です。爪の弯曲が強く、爪が厚くなって爪切りが難しくなる、靴や靴下を履くのが難しくなるなど生活に支障が出ている
歩行時や運動時に、爪の先端部分が圧迫されて、痛みを生じたり爪の下に血腫を生じたりしている
爪が周囲の皮膚に食い込んで強い痛みや腫れがあり、安静にしても強い痛みが生じ歩行が困難になっている
特に、糖尿病や閉塞性動脈硬化症などがある方は、足の小さな傷から重篤な感染症や潰瘍に進行するリスクがあるため、自己判断で放置せず、速やかに医療機関を受診してください。
巻き爪を診療する主な診療科とその違い

巻き爪は何科で診てもらえますか?
巻き爪の診療は、主に皮膚科、形成外科で行っています。整形外科で行なっている場合もあります。皮膚科は、爪の変形や周囲の炎症、感染症の有無を診断し、主に保存的治療を行います。症状が強く、保存的治療でよくならず、手術による根治的な治療が必要な場合は、形成外科が適しています。また、巻き爪の原因が足の骨格や歩行の異常にあると考えられる際は、整形外科の受診が必要な場合もあります。どの診療科を受診すべきかは、症状の程度や原因によっても異なりますが、病院によって担当する科が異なる場合があるため、事前に確認してから受診するのがよいでしょう。足のトラブルを総合的に診療するフットケア外来や爪外来を設けている医療機関も増えています。
皮膚科ではどのような巻き爪治療が行われますか?
皮膚科は、一般的に保存的治療を中心に巻き爪の治療を行なっています。病院やクリニックによっては外科的治療まで対応している施設もあります。爪白癬など、爪の疾患が巻き爪の原因となることがあるため、必要に応じてその治療も行います。巻き爪の痛みを和らげるための処置として、医療用テープで皮膚を引っ張って、爪との隙間を作るテーピング法、爪と皮膚の間に医療用の綿を詰めるコットンパッキング法や爪の縁にやわらかいチューブを被せるガター法などが行われます。これらは、爪が皮膚に食い込まないように保護して炎症を取る方法です。
過度に湾曲した爪を平らにするための矯正治療が行われることもあります。ワイヤーを爪に通すワイヤー法や、特殊なクリップやプレートを爪に装着する方法などがあります。ただし、これらの巻き爪矯正治療の多くは保険適用外(自由診療)となるため、事前に費用や治療期間について確認することが大切です。
整形外科での巻き爪治療について教えてください
巻き爪による痛みや炎症に対するテーピング法やワイヤー矯正などの保存的治療を行う施設もありますが、整形外科は、主に巻き爪を引き起こしている足の骨格や運動機能の問題に焦点を当てた診療を行います。巻き爪は、足の痛みや外反母趾、扁平足などの変形により足の指に正しく体重がかからない浮き指が原因で発生することがあります。これらの問題がある場合、レントゲン検査などで足の骨格を評価し、必要に応じてインソール(靴の中敷き)の調整や、正しい歩き方の指導、足の筋肉を鍛えるリハビリテーションなどを行います。これにより、巻き爪の原因に根本からアプローチすることができます。
形成外科や専門外来での巻き爪治療について教えてください
形成外科では、前述した保存的加療に加え、保存的治療で改善が見られない重度の巻き爪や、再発を繰り返す陥入爪に対して、外科的治療が行われます。巻き爪の手術は、変形した爪を除去し、必要に応じて骨の突出を削るなどして爪の下の組織を平らに整え、新しい爪が平らに生えるように誘導する手術を行います。
また、陥入爪の手術方法としてフェノール法などがあります。局所麻酔下で食い込んでいる爪の端を縦に切り取り、その根元にある爪母(爪を作る組織)をフェノールという薬品で処理して、爪の端が生えてこないようにする方法です。また、楔状切除法という皮膚に食い込んだ爪を切除する方法や、爪周囲の皮膚を爪の下に引き込む手術もあります。

