「メタボリック肝硬変かも」と思ったら
編集部
まず何をすべきでしょうか?
奥山先生
健康診断でALTやAST(いずれも肝機能の状態を示す数値)の上昇、あるいは脂肪肝を指摘されたら、まずは日本肝臓学会 肝臓専門医などの受診をおすすめします。血液検査や腹部エコーをおこない、線維化が疑われる場合にはフィブロスキャン(fibroscan)やエラストグラフィ(Elastography)などで線維化の程度を評価します。放置せず、早期の診断が重要です。
編集部
どのように治療するのですか?
奥山先生
体重管理、食事改善、運動療法が治療の中心です。糖尿病や脂質異常症がある場合は、専門的な薬物治療を組み合わせます。また、線維化が進んでいる場合は、肝がんの早期発見のため定期的な画像検査が必要です。
編集部
生活習慣では何に気をつけるべきですか?
奥山先生
糖質や脂質の摂り過ぎに注意し、運動の習慣化が大切です。特に内臓脂肪を減らすには有酸素運動が有効です。また、睡眠不足やストレスも肝臓に悪影響を与えるため、生活全体の見直しが必要です。
編集部
運動が大事なのですね。
奥山先生
ただし肥満があり、これまであまり運動習慣がなかった人の場合、いきなり有酸素運動をおこなうと膝や心肺機能に大きな負担がかかる場合があります。そのため、無理に長時間歩いたり走ったりするよりも、まずは筋力トレーニングからの開始をおすすめします。
編集部
有酸素運動より筋トレがよい場合もあるのですね。
奥山先生
はい。筋肉量を増やせば基礎代謝が上がり、痩せやすくなります。また筋トレをすると、生活習慣病の予防によい影響をもたらす「マイオカイン」などの生理活性物質も分泌されます。筋肉量を維持・増加させながら、余分な脂肪を減らす意識が大切です。
編集部
自宅ではどのように筋トレをしたらよいでしょうか?
奥山先生
特別な器具を使わず、腹筋やスクワットなどの自重トレーニングで十分です。自宅でできる運動を、無理のない範囲で継続していくアプローチが健康改善への近道です。
編集部
どのくらいの頻度で検査を受ければよいですか?
奥山先生
脂肪肝やメタボを指摘された人は、半年~1年ごとのフォローが推奨されます。また、線維化が進んでいる場合は3~6カ月ごとに検査をおこない、肝がんの早期発見を目指します。
編集部
最後に、メディカルドック読者へのメッセージをお願いいたします。
奥山先生
脂肪肝はほとんど自覚症状がなく、放置されがちです。しかし、症状が表れた時点では、すでに病気がかなり進行しているケースも少なくありません。健康診断などで肝障害を指摘された場合は様子見で済ませず、早めに専門の医療機関を受診し、適切な管理を受けるよう意識しましょう。
編集部まとめ
脂肪肝は「様子を見ていれば治る」病気ではありません。自覚症状がないからこそ見逃されやすく、気づいたときには進行しているケースもあります。健診で異常を指摘されたら、早めに専門の医療機関を受診しましょう。

