サトルの泣き落としに負け、再び彼のもとへ戻る恵美。美幸はDV経験者の友人・裕子から、加害者が豹変する「ハネムーン期」や「共依存」の仕組みを学ぶ。暴力は選択であり、本人の自覚なしには解決しないという厳しい現実を知った美幸は、外堀から埋める決意を固める。
彼氏の元へ帰っていた妹
それから数日、恵美は私の家に身を寄せていましたが、サトルから「死んでお詫びする」という内容のLINEが数100通届くと、いても立ってもいられなくなったようで、結局彼の元へ戻ってしまいました。
私は幼馴染の裕子(29)をカフェに呼び出しました。彼女は数年前にDVが原因で離婚を経験しており、この手の問題には誰よりも詳しいのです。
「裕子、もうどうしたらいいか分からない。恵美は『自分が悪い』って一点張りで、被害届さえ出そうとしないんだ」
幼馴染から聞いたDVの実態
裕子は重苦しくため息をつき、静かにコーヒーを啜りました。
「美幸、厳しいことを言うようだけど、恵美さんは今、典型的な『共依存』と『洗脳』の状態にあるよ」
「洗脳……? 妹が?」
「そう。DV加害者はね、暴力を振るった後に過剰なほど優しくなるの。これを『ハネムーン期』って呼ぶんだけど、被害者はその一瞬の優しさを本性だと思い込んじゃう。暴力は、自分が悪いから引き起こされた『罰』だと刷り込まれているんだよ」
裕子の言葉は、私の胸に突き刺さりました。確かに恵美は、サトルの怒鳴り声を「彼なりの情熱」だと解釈しようとしています。

