頚部の痛みを訴える方は多く、腰痛や肩こりなどと同様に悩んでいる方も少なくありません。
頚部の痛みとともに、腕や手の痺れを伴う場合もあります。
ただし、そのような症状の原因を知らない方が多いのが現状です。
本記事では、頚部の痛みや腕、手の痺れなどの症状と原因、対処方法についてわかりやすく解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
頚椎症の原因や症状

頚椎症とはどのような病気ですか?
頚椎症とは、頸椎の加齢性変化などにより生じる、頚部の痛みなどを主訴としたものを指します。頚椎症の症状は以下の3つに大きく分けられます。
局所症状
神経根症
脊髄症
局所症状では、手の痺れはありません。主に首や肩甲骨付近の痛みや肩こりが主な症状です。神経根症では、主に片方の首や肩、腕、手にかけての痛みや痺れ、力が入りにくいという脱力感やだるさが症状として現れます。脊髄症は両方の手足が痺れたり、動かしにくくなったりするのが主な症状です。
ひどい場合には、尿意などが感じにくくなることがあります。また、手指の細かな動きも難しくなり、ボタンがかけづらいなど生活にも支障をきたすことがあります。
頚椎症性脊髄症と頚椎症性神経根症の違いを教えてください。
頚椎症性脊髄症と頚椎症性神経根症の大きな違いは、症状が片側のみに現れるか、両側に現れるかです。
頚椎症性脊髄症の原因と症状を教えてください。
頚椎症性脊髄症に明確な定義はありません。一般的には加齢的変化が生じて頚椎の脊柱管が狭くなり、椎間板の変性や骨棘の形成、靭帯の肥厚が生じます。その結果、脊髄が圧迫されて頚椎の前後屈不安定性や軽微な外傷が加わり、脊髄麻痺を発症する疾患の総称が頚椎症性脊髄症です。主な症状には、手足のしびれや脱力、細かい作業の困難、歩行障害、排尿排便障害などがあります。症状は徐々に進行し、日常生活に支障をきたすことがあります。
頚椎症性神経根症の原因と症状を教えてください。
頚椎症性神経根症は、椎間孔の狭窄や椎間板の膨隆、骨棘の形成などにより神経根が圧迫されることで発症します。主な症状は、首から肩、腕や手にかけての痛みやしびれ、筋力低下などです。症状は片側に現れることが多く、首を後ろに反らす動作で症状が悪化することがあります。
頚椎症の検査や治療方法

頚椎症で医療機関にかかる目安を教えてください。
日常生活に支障を及ぼす頚部の痛みや、原因が不明な腕と手のしびれを感じた場合、速やかに整形外科を受診することが重要です。特に、首を反らせると症状が悪化する場合は、頚椎症が疑われます。細かい作業がしづらくなったり、手指の力が入らなくなったりする場合は神経根や脊髄が何らかの原因で圧迫されて引き起こされている場合があります。放置すると日常生活に大きな影響を及ぼしかねません。まずは速やかに整形外科を受診しましょう。早期の受診が症状の悪化を防ぐために重要です。手のしびれや脱力感が続く場合は、早めに整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。
頚椎症が疑われる場合どのような検査を行いますか?
主な検査方法は以下のとおりです。
脊髄造影
CT
椎間板造影
神経根造影
筋電図
MRI
レントゲン
これらの検査結果に基づき、医師が頚椎症かどうかを判断します。
またこれらに加えて、症状の経過や神経学的所見も重要な判断材料となり、総合的に診断が行われます。
頚椎症性脊髄症の治療方法を教えてください。
治療方法は薬物療法・保存療法・手術療法の3つです。薬物療法では、鎮痛剤や筋弛緩剤、抗不安薬などが用いられます。保存療法には頚椎牽引療法や頸椎カラーで外固定を行うなどの装具療法、作業療法士や理学療法士によるリハビリテーションなどがあります。頚椎牽引療法は古くから行われていますが、有効性を検証した報告はなく、効果は不明です。また、装具療法について有効性を示した研究はなく、頸椎カラーを使用した場合の有効性は定かではありません。保存療法が奏功しない場合には、手術適応と考えられます。手術療法の目的は脊髄の圧迫を軽減し、症状を緩和することです。
椎弓形成術は患者さんの満足度も高く、神経症状の改善率も高い術式です。
頚椎症性神経根症の治療方法を教えてください。
治療方法には頚椎症性脊髄症と同じく薬物療法、保存療法、手術療法があります。薬物療法と保存療法は、頚椎症性脊髄症と同じように患者さんの症状に合わせて行われます。手術療法では、神経根の圧迫を除去するために椎間孔拡大術や椎間板摘出術などが行われることが多いです。手術適応になる前の保存療法の段階では、頚椎症性脊髄症と頚椎症性神経根症をともに作業療法士や理学療法士が行うリハビリテーションが有効です。リハビリテーションでは、感覚障害や運動障害の程度を適切に評価し、日常生活で支障になる事柄の問題点を専門的知識を持った作業療法士や理学療法士が分析します。そして、患者さん一人ひとりのニーズを抽出して治療プログラムを立案し、実際に治療にあたります。

