胃もたれや胸やけ、胃痛はよくある不調ですが、必ずしも様子を見てよい症状ばかりではありません。中には、早めに受診した方がよいサインもあります。受診のタイミング、市販薬を選ぶポイントについて、川崎駅前大腸と胃の消化器内視鏡・肛門外科クリニック院長の近藤先生に教えてもらいました。
※2026年4月取材。

監修医師:
近藤 崇之(川崎駅前大腸と胃の消化器内視鏡・肛門外科クリニック)
慶應義塾大学医学部 卒業。東京都済生会中央病院、伊勢原協同病院、総合太田病院(現・太田記念病院)、慶應義塾大学病院、独立行政法人 国立病院機構 東京医療センター、川崎市立川崎病院 外科医長、東葛辻仲病院などを経て現職。日本外科学会 外科専門医、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医、日本大腸肛門病学会 大腸肛門病専門医、日本消化器外科学会 消化器外科専門医・指導医。
胃もたれ、胸やけ、胃痛で受診すべき目安は?
編集部
胃もたれや胸やけ、胃痛がある場合、どのタイミングで受診すべきでしょうか?
近藤先生
症状が数日以上続く場合や、繰り返し起こる場合は受診を検討しましょう。胃もたれや胸やけなどは一時的な食べ過ぎやストレスで起こる以外にも、慢性的に続く場合は消化器の病気が隠れている可能性があります。特に症状が強い、日常生活に支障が出ている場合は早めに医療機関で相談することが大切です。
編集部
すぐに受診した方がよい危険なサインはありますか?
近藤先生
強い痛みが続く、吐血や黒い便がある、体重が急に減った、食事が取れないといった症状がある場合は、早急な受診が必要です。胃潰瘍や消化管出血、がんなどの可能性もあるため注意してください。
編集部
市販薬で様子を見てよいケースはありますか?
近藤先生
症状が軽く、一時的なものであれば、市販薬で様子を見ることも可能です。ただし、症状が改善せずに再発を繰り返す場合は、自己判断で服用を続けず、医療機関を受診してください。症状の背景に病気が隠れていることもあるため、長引く場合は必要な検査を受けるようにしましょう。
編集部
受診する際は、どの診療科を選べばよいでしょうか?
近藤先生
一般的には消化器内科の受診が適しています。また、症状や状況に応じて胃カメラ(上部消化管内視鏡)などの検査が行われることもあるので、設備が整っている医療機関を選ぶことをおすすめします。自分で判断できない場合は、まずはかかりつけ医に相談し、消化器内科医を紹介してもらうのもよいでしょう。
なぜ、胃もたれや胸やけ、胃痛が起こるのか? よくある病気は?
編集部
胃もたれや胸やけは、なぜ起こるのでしょうか?
近藤先生
胃もたれは、胃の動きが低下して食べ物の消化や排出が遅れることで起こります。一方、胸やけは胃酸が食道に逆流することで生じます。どちらも食生活の乱れや肥満、ストレスなどのほか、加齢による消化能力の低下や胃粘膜の萎縮が原因となって発症することが多いとされています。
編集部
胃もたれや胸やけを引き起こす病気もあるのですか?
近藤先生
はい、胃もたれや胸やけは一時的な不調だけでなく、病気が背景にある場合もあります。代表的な病気は逆流性食道炎で、胃酸が食道に逆流することにより胸やけが起こります。また胃炎や胃潰瘍、機能性ディスペプシア(検査で異常が見つからないのに、胃痛や胃もたれが続く病気)なども原因となります。さらに、ピロリ菌感染が関係しているケースや、食道がんや胃がんなど重篤な病気が隠れているケースもあります。症状が長く続く、繰り返す、痛みが強いといった場合は、自己判断せず医療機関で検査を受けることが重要です。
編集部
胃痛の原因には、どのようなものがありますか?
近藤先生
胃痛の原因はさまざまで、胃炎や胃潰瘍、機能性ディスペプシアなどが代表的です。また、ストレスによって胃の働きが乱れ、痛みや不快感が生じることもあります。
編集部
ストレスも影響するのですね。
近藤先生
はい、ストレスは胃の働きに大きく影響します。自律神経のバランスが乱れることで胃酸の分泌や胃の動きが変化し、胃もたれや痛みが起こることがあります。明確な異常が見つからない場合でも、ストレスが原因となっているケースも少なくありません。しかし、「ストレスが原因だろう」と安易に考えると、病気を見逃してしまうこともあるため、気になる症状があれば念のため胃カメラなどの検査を受けてください。

