様子見で後悔しないために。受診の判断基準と放置した場合のリスク
編集部
年齢が若い人でも血便があれば受診したほうがよいのでしょうか?
柏木先生
年齢にかかわらず、血便があれば受診をお勧めします。大腸がんは一般的に50歳以上に多い疾患ですが、近年は若年性大腸がんが増加傾向にあり、20〜30代での発症例も報告されています。また、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患は10〜30代に多く発症し、血便・下痢・腹痛が主な症状です。若い世代は「自分はまだ大丈夫」と考え、受診が遅れる傾向にあります。血便という症状が出ている以上、年齢を理由に判断を先延ばしにせず、まずは消化器内科に相談することが大切です。
編集部
血便を自己判断で放置した場合、どのようなリスクがあるのでしょうか?
柏木先生
がんや炎症性腸疾患など重篤な疾患の発見が遅れることです。一般的にがんはステージ(進行度)が進むほど治療が難しくなり、生命予後に影響します。特に大腸がんでは差が開きやすく、早期であるステージ1の5年生存率が約95%以上であるのに対し、進行したステージ4では約20%程度まで低下します。早期発見・早期治療できれば根治が見込める病気だけに、放置による機会損失は非常に大きいといえます。
編集部
血便で病院を受診した場合、どのような診察や検査が行われるのでしょうか?
柏木先生
一般的な流れは以下のとおりです。
問診(いつから・どのくらいの頻度・便の色や量・そのほかの症状の確認)で状況を把握し、診察室にて診察をします。
その結果をもとに医師が判断し、痔の可能性が高い場合には肛門や直腸診を案内します。大腸の病気の可能性が高い場合や精密検査が必要な場合には、採血や大腸内視鏡検査などを案内します。
内視鏡検査は原因の確定診断に最も有用な検査ですが、異常を見つけるだけでなく、異常がないことを確認するためにも大切な検査となります。
編集部
受診するか迷ったとき、どのように判断すればよいのでしょうか?
柏木先生
迷ったときの原則は「迷ったら受診」のひと言に尽きます。下部消化管を専門とする医師でも診察してみないと判断が難しいことも多いためです。血便症状があるときに受診してもらえば、出血場所を特定しやすくなります。
「痔だから」「少量だから」「若いから」「仕事が忙しいから」という理由で受診を先延ばしにすることは、重大な疾患の発見を遅らせる原因になり得ます。便潜血検査(健康診断や検診で行われる検便)が陰性であっても、上述したような症状がある場合にはただちに受診が必要です。
血便は体からの重要なシグナルです。受診して何もなければ安心できるという前向きな気持ちを持ち、ぜひ消化器内科へご相談ください。
編集部まとめ
血便の多くは痔などの良性疾患によるものですが、見た目や出血量だけで原因を見極めることは容易ではありません。特に大腸がんは、早期発見できれば高確率で治療が可能とされており、血便はその重要なサインの一つです。自己判断で様子を見ることが、結果的に診断の遅れにつながるケースも少なくありません。血便に気づいた際は軽視せず、早めに消化器内科を受診することが大切です。本稿が読者の皆様にとって、適切な受診行動を考えるきっかけとなりましたら幸いです。

