「いびきをかく人」の『糖尿病』の可能性は何倍? 寝起きの“この症状”に注意【医師解説】

「いびきをかく人」の『糖尿病』の可能性は何倍? 寝起きの“この症状”に注意【医師解説】

いびきは「体質」「疲れているだけ」などと軽く考えられがちですが、じつは体の中で起きている異常のサインである場合も少なくありません。特に、睡眠中の呼吸障害は生活習慣病、とりわけ糖尿病と深く関係していると分かってきています。本記事では、桑名メディカルクリニック院長の堀田康広先生に、いびきが起こる仕組みから、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と糖尿病リスクの関係まで聞いていきます。

※2026年1月取材。

堀田 康広

監修医師:
堀田 康広(桑名メディカルクリニック)

2009年三重大学医学部医学科卒業。その後、山本総合病院(現・桑名市総合医療センター)や三重大学医学部附属病院、桑名市総合医療センター糖尿病内分泌内科医長、同部長などを経て現職。日本内科学会総合内科専門医・領域指導医、日本糖尿病学会糖尿病専門医・研修指導医、内分泌代謝・糖尿病内科領域専門研修指導医。

いびきは「音」ではなく体の異常サイン

いびきは「音」ではなく体の異常サイン

編集部

いびきはなぜ起こるのでしょうか?

堀田先生

いびきは、睡眠中に、空気の通り道である気道が狭くなる現象によって起こります。気道が狭い状態で呼吸をすると周囲の組織が振動し、その音がいびきとして聞こえます。単なる癖ではなく、体の構造や状態が関係している点が特徴です。

編集部

いびきが強いままだと、どのような問題が起こりますか?

堀田先生

強いいびきが続いている場合、睡眠中に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群(SAS)を引き起こしているケースが多々あります。呼吸停止が1時間に20回以上ある場合、8年後の生存率が約63%まで低下したという報告もあり、命に関わる疾患として注意が必要です。厚生労働省も重大な疾患と位置付けており、1時間当たり15回以上の無呼吸があれば、持続陽圧呼吸療法(CPAP/シーパップ)の適用となるよう基準を引き下げてきています(2026年6月1日施行)。

編集部

本人が自覚していないケースも多いのでしょうか?

堀田先生

そうですね。睡眠中の出来事なので、本人が気づかないまま進行しているケースが少なくありません。家族にいびきを指摘され、検査を受けて初めて重症度が分かる場合も見られます。

SASと糖尿病の関係

SASと糖尿病の関係

編集部

SASと糖尿病には、どのような関係があるのでしょうか?

堀田先生

SASがあると、睡眠中に低酸素状態や交感神経の過剰な緊張が繰り返されます。その結果、インスリンの働きが低下し、血糖値が上がりやすくなるため、糖尿病の発症や悪化につながると考えられています。

編集部

糖尿病リスクが2倍になるという話は本当ですか?

堀田先生

研究によって数値の差はあるものの、概ね事実です。いずれの研究においても、SASがある人は、SASがない人に比べて糖尿病を発症するリスクが高いと示されています。SASがある人は「明らかに糖尿病になるリスクが上昇する状態」と理解するとよいでしょう。

編集部

すでに糖尿病がある場合も、SASは影響しますか?

堀田先生

影響します。SASによって睡眠の質が低下すると、血糖コントロールが不安定になりやすくなります。治療を行っていても数値が改善しにくい場合、SASが関与している可能性が考えられます。

編集部

肥満体型とSASの関係についてはどうでしょうか?

堀田先生

肥満はSASの大きな要因の1つですが、痩せている人でも顎の形や気道の構造によって起こる場合があります。体型だけで判断できない点がSASの特徴です。「いびきを指摘された」だけでなく「熟睡感がない」「朝起きると頭が痛い」などの症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。

配信元: Medical DOC

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