小野寺史宜さんの『片見里足立アフェクション』が発売になりました。「片見里」シリーズ3冊目となる本作。その成り立ちや、作家と編集者の関係などを、この1月に幻冬舎編集者となったばかりの新米編集者Iが、作家生活約20年の小野寺さん、幻冬舎生活31年目の担当編集Kに尋ねる形の鼎談を行いました。

作家と編集者は、どうやって出会うのですか?
新米I(小野寺さんに)初めまして、編集者4ヶ月目のIです。今、色々な作家さんにオファーしているのですが、打ち合わせをする中で、編集者と作家さんがどういうやりとりをするのかわからないことが多くて結構手探りな状態です。
担当K 企画本だと上司がついていくことも多いけど、作家さんに会う時は一人で行っておいでとしてるので。でも実際私も、他の編集者が作家さんとどういうやりとりをしてるのかは、あまり知らないかも。
小野寺 作家もそうじゃないですか。僕も、他の作家さんが編集者さんとどういうやりとりしてるか、意外とわからないですよね。
新米I お二人の最初の出会いはどんな感じだったんですか?
担当K 初めてお会いしたのは2012年です。小野寺さんの『転がる空に雨は降らない』という作品を読んで、ぜひお仕事ご一緒したいとご連絡ました。
小野寺 子供がいきなり死んでしまう話で、僕はそんなに暗いと思ってなかったんだけど、僕の中では重い方の作品かもしれません。
担当K でもそんな中に切なさと温かさがあって、すごくいいなと思って。新潮社の担当Oさんに小野寺さんのメールアドレスを教えていただきました。
小野寺 Oさんからそういうお話が来たんです、って連絡があって。最初の頃でしたから、めちゃくちゃ嬉しいじゃないですか。今でも嬉しいですけど。
テーマはどうやって決まるのですか?
担当I それでお会いして打ち合わせします、ってなった時に、すぐにこの坊主の話(『片見里、二代目坊主と草食男子の不器用リベンジ』)に決まったんですか?
小野寺 これはもう、Kさんから「お坊さんで」それで「仕返し物」でって言われて。
担当K 人によると思うんですが、私は作家さんにお会いするときは、ある程度こういうのを書いてくださいと持っていきたいので。その当時キャラクター小説が流行っていて、お坊さんを「なまぐさ」なキャラクターにしてほしいなと思って。
小野寺 多分初めてですね、こういうふうに具体的にこういうのでどうですか、って言われたのは。お坊さんのこと何にも知らないなと思ったけど、面白そうだからやりましょうか、って話になって。
新米I 取材に行ったりはしたんでしょうか。
担当K 今思い出しましたが、どなたかに紹介いただいて、神奈川のお寺まで取材に行きましたね。
小野寺 お若くてきちんとした方でした。
新米I じゃあ、お坊さんは編集者発にしても、相方の草食男子の設定などはどうやって作っていったんでしょうか。
小野寺 僕の小説はほぼ全て一人称で書くので、当然お坊さんとなったらその一人称になるだろうとは思ったんですが、全部お坊さんの一人称もどうかなって考えて、多分もう一人立てた方がいいんじゃないかと思ったんですかね。お坊さんを客観的に見る人がいてっていうんで。徳弥(主人公の坊主)は砕けたキャラクターだったので、一時(もう一人の主人公)は対照的な人にした方がいいかなと、「草食男子」の設定にしました。
新米I 片見里は架空の町ですよね?
小野寺 完全に僕の創造です。東京からこれくらいの距離の町で、駅前にはこんな商店街があって、飲み屋があって、徳弥のお寺はこの辺で……と考えました。

