●経済的困窮と親の暴力、非行に関連
過去1年間の非行経験と親からの暴力との関係を分析した結果、暴力を受けたことのある生徒は、受けていない生徒に比べて、非行に関わった経験が統計的に有意(偶然ではない意味のある差)に多いことがわかった。
また、家庭に経済的な余裕がない場合のほうが、親から暴力を受けたことのある生徒が多く、非行経験が最も多かったのは「家庭に経済的な余裕がなく、親からの暴力あり」のケースだった。
一方で、「家庭に経済的な余裕があり、親からの暴力なし」の場合は最も非行が少なかったという。
●「非行を社会全体の問題として把握して」
岡邊教授は、日本の少年非行は国際的に見れば少なく、今回の調査でも非行経験のある中学生はそれほど多いとは言えないことが確かめられたとしつつも、「親からの暴力があったかなかったかで、非行経験が明確に異なることがわかった」と指摘する。
そのうえで、次のように強調している。
「今回の知見は、家庭の厳しい環境が中学生個人の非行行動に関連している可能性があることを示している。非行への社会的なまなざしは厳しく、『非行をおこなったこどもへは厳しく対処すべきだ』という声も根強くあるが、非行を個人の問題で片付けてしまうことは不適切ではないか。非行を、こどもが成育する社会全体の問題として把握していくことが求められる」
そして、非行の背景に親の暴力があるとしても、単純に親を非難すれば解決するわけではないとし、「困難を抱える家庭に対して、経済的側面を含む社会による支えを充実していくことが、結果的に青少年の非行の抑制にもつながると考えるべきだろう」と結んでいる。

