要支援1は、介護保険制度の区分のなかでも軽度な状態に位置づけられます。しかし、どのような状態で認定されるのか、どのような手続きを行えばよいのかがわかりにくいと感じる方も少なくありません。
また、要支援1は介護が不要な状態ではなく、適切な支援を受けることで心身機能の維持や悪化の予防が期待される段階です。そのため、制度の仕組みや認定基準を正しく理解することが重要です。
本記事では、要支援1の具体的な状態や認定基準、申請手続きの流れ、利用できるサービスや費用の目安を解説します。

監修社会福祉士:
小田村 悠希(社会福祉士)
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。
要支援1とはどのような状態か

要支援1は、日常生活の基本的な動作はおおむね自立しているものの、一部に見守りや軽度の支援が必要な状態です。
介護保険制度では、本人の状態に応じて適切なサービスを提供するため、要介護認定によって支援の必要度が判定されます。要支援1の位置づけや判断基準、具体的な状態を解説します。
要介護認定の仕組み
要介護認定とは、介護保険サービスを利用するために必要な判定制度であり、支援や介護の必要度を客観的に判断する仕組みです。
介護保険制度では、寝たきりや認知症などにより常時介護が必要な要介護状態と、家事や身支度などに支援が必要な要支援状態に区分されます。
認定は、市区町村が設置する介護認定審査会によって行われ、全国共通の基準に基づいて客観的に判断されます。介護サービスの給付内容や利用上限に直結するため、公平性を確保する必要があるためです。
要支援1の認定基準
要支援1は、どの程度の介護の手間がかかるかを時間で示した要介護認定等基準時間に基づいて判定されます。
基準時間が25分以上32分未満と算定された場合に、要支援1に該当します。
以下のような介護に関わる行為をもとに算出されます。
入浴・排せつ・食事などの直接的な介助
洗濯や掃除などの生活支援
徘徊対応などの見守りや対応
歩行訓練などの機能訓練
医療に関する支援
さらに、認知機能の状態や生活状況なども総合的に考慮され、最終的な判定は介護認定審査会によって行われます。
要支援1と判定される具体的な心身・生活の状態
要支援1は、基本的な日常生活動作はおおむね自立しているものの、一部の場面で見守りや軽度の支援が必要な状態を指します。
例えば、以下のようなケースが該当します。
歩行や立ち上がりは自力で可能だが、ふらつきがあり転倒の不安がある
入浴や着替えはできるが、安全面で見守りが必要な場面がある
掃除や洗濯、買い物などの家事が負担になっている
物忘れが増え、服薬管理や金銭管理に不安がある
外出の機会が減り、活動量の低下が見られる
できることは多いが、そのままでは生活の維持に不安がある状態です。
適切な支援や介護予防サービスを利用すると、心身機能の維持や悪化の防止が期待できる段階です。
参照:『2015年の高齢者介護~高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて~』(厚生労働省)
要支援1と認定されるために必要な手続き

要支援1の認定を受けるためには、介護保険制度に基づいた所定の手続きを順に進める必要があります。
要支援1の認定を受けるまでの流れを解説します。
市区町村や地域包括支援センターへの相談
まずは、市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談します。
介護保険サービスの利用を検討している場合、現在の心身の状態や生活状況を伝えることで、申請の必要性や手続きの流れの案内を受けることができます。特に要支援の可能性がある場合は、地域包括支援センターが窓口となり、支援の調整を行います。
必要書類の提出
申請を行う際には、必要書類を市区町村へ提出します。
介護保険被保険者証のほか、40歳から64歳までの方(第2号被保険者)の場合は、医療保険証も必要です。
申請は本人だけでなく、家族や代理人による手続きも可能です。
認定調査
申請後は、市区町村の調査員が自宅や施設を訪問し、心身の状態を確認する認定調査が行われます。
あわせて、市区町村が主治医に依頼して意見書を作成し、医学的な観点からも状態が評価されます。主治医がいない場合は、指定医の診察を受ける必要があります。
これらの情報をもとに、全国共通の基準で一次判定が行われ、その結果と医師の意見を踏まえて介護認定審査会が最終的な判定を行います。
結果の通知
審査結果に基づき、市区町村から認定結果が通知されます。
申請から通知までは原則30日以内とされており、要支援1・要支援2、要介護1〜5、または非該当のいずれかに区分されます。
認定には有効期間が設定されており、期間満了前には更新申請が必要です。また、状態が変化した場合は、有効期間中でも変更申請を行うことができます。
要支援1と認定された場合は、その後、地域包括支援センターが中心となってケアプランを作成し、介護予防サービスの利用が開始されます。
参照:『サービス利用までの流れ』(厚生労働省)

