
静岡県・稲取温泉の『食べるお宿 浜の湯』は、リピーターが多いことで有名な老舗旅館。最近では、訪日外国人客でも楽しめるよう立礼式(りゅうれいしき)の茶室「ZEN」を旅館内に開設し、日本文化に親しんでもらう取り組みを行っています。また、茶室の亭主に若手を登用するなど、人材の積極的な採用と育成に力を入れているそうです。果たして、茶室開設と若手亭主起用の狙いとは? 代表取締役社長の鈴木良成さんにお話を伺いました。
今、あえて茶室サービスを始めた理由とは?
そもそも、茶室は温泉旅館業界ではすでに形骸化したサービスといえます。なぜ今、復活させ、若手を亭主にしたのでしょうか?
「日本旅館は本来、滞在そのもので日本文化を感じてもらうべきもの。だからこそ、茶室は日本文化を強く宿泊客のみなさまに感じていただきたいという思いで作りました。一般的な旅館では、茶室があっても見せるだけで活用しきれていないケースも多くあります。そこで、我々の強みである“人”による心のこもったサービスが生かせると考えました。茶室の亭主は新規で募集する予定でしたが、スタッフの1人が大学時代に本格的に裏千家の先生の指導を受けていたことを知って起用しました」
茶室ではまず好きなお茶を選び、亭主がお茶碗などを選んでくれます。そして、亭主がお点前を披露。立礼式なので椅子に座っての体験が可能ですから、正座が苦手でもリラックスしてお点前を受けられますね。点てられた本格的なお茶をお茶菓子とともに堪能しつつ、亭主との会話を楽しむこともできるそうですよ。
人材にコストをかけるのは“旅館は人が主役”だから!
採用や育成など、人材へ積極的にコストをかけているのもこの旅館の特徴です。それには、深い理由があるようです。
「ロボットやAIが急速に旅館業界にも浸透してきていますが、それらに頼る必要はないと考えています。旅館の価値は、“人”が介在することによって無限に広がる可能性を秘めています。価値が上がれば価格を上げられますし、人材確保も可能になります。旅館は人が主役になるべきだと思っています」
