背景には、全国的に進む部活動改革の流れがあります。文部科学省は、少子化や教員の働き方改革を背景に、従来の学校主体の部活動から、地域全体で支える「地域展開」への転換を推進。2026年度以降は、休日の部活動について原則として地域で実施することを目指しています。
一方で、その地域展開は現在も各自治体の状況に応じて段階的に進められており、学校と地域クラブが併存するケースも少なくありません。こうした中で鯖江市は、早い段階から地域連携のあり方を模索し、実践を重ねてきました。

十種競技のオリンピック出場経験者・右代啓祐さんによる指導会を開催!
鯖江市では、3つの市立中学校区で個々に地域クラブを設立するのではなく、総合型地域スポーツクラブが協議会を作り、市内全域で一つの地域クラブを立ち上げ。これにより生徒のつながりをつくるとともに、部活動と地域クラブで綿密なネットワークを築いて指導方針に差が生まれないようにすることなどを目的に掲げています。
始まりとなる2026年度は、一流講師を招いて質の高いコーチングを取り入れることで、子どもたちの技術向上だけでなく、指導者自身のスキルアップも図ることも目指しています。

2026年4月26日、鯖江市内の陸上競技場にて、陸上十種競技でオリンピックに2大会出場を経験している陸上競技選手の右代啓祐さんを招いた指導会が開催されました。参加したのは、鯖江市の中学校に通う中学生を中心とした生徒たちです。

右代さんが登場すると、参加者たちからは自然と歓声があがります。自己紹介に続いてまず最初に伝えられたのは、ウォーミングアップの重要性。「ケガをしにくい体づくりには、基礎トレーニングが大切」という言葉とともに、指導はアップ運動から始まりました。

どこの部位に効いているのかを意識しながら行うストレッチ、リズムや動きを変えながらのダッシュ、メディスンボールを使ったトレーニングなど、30分以上かけた丁寧な指導が続きます。

「選手だけでなく、指導者にもトレーニングの考え方を伝えていきたい」と語る右代さん。見守る教員や地域クラブの指導者たちも、真剣な表情でメモを取っていました。
参加した中学生からは、「トレーニングは大変だったけれど、一流の講師から学べる貴重な時間でした」「これからどんなトレーニングを教えてもらえるのか楽しみ」といった声が聞かれました。
地域クラブと学校が連携する新しい形へ
指導会に先立ち、右代さんと鯖江市の地域クラブ関係者、小学校・中学校・高校の指導者によるミーティングも開催されました。
右代さんは、「全国的に地域クラブへの地域展開が進む中で、トップアスリートが継続的に関わる取り組みは初めて聞きました。十種競技で培った視点から、走る・投げる・跳ぶといった基礎動作を通して、子どもたちや指導者の役に立てれば」と話します。
また、地域クラブ代表の牧野さんは、「これまで関係者同士で何度も話し合い、学校の指導者とも連携しながら進めてきました。トップアスリートの知識や技術に触れることで、子どもたちはもちろん指導者側のスキルアップにもつなげ、鯖江市で運動をする子どもたちの成長に貢献したい」と語ります。
鯖江中学校の林校長は、「楽しく運動したい子も、上を目指したい子も、それぞれのニーズに応じた受け皿があることは大きい」と期待を寄せました。

午前中には小学生SC会員向けにも指導会を開催。
