●長期の実刑判決が見込まれる場合、未成年後見人の選任もありうる
本件の容疑は強盗殺人で、これが認められると法定刑は死刑または無期拘禁刑のみです。長期の実刑判決が予想されます。
両親いずれもが長期の実刑判決を受けてしまった場合には、家庭裁判所が両親に対する「親権停止」または「親権喪失」の審判をすることがあります。
このようにして両親いずれもが親権を失った場合には、子どもを守るため「未成年後見人」が選ばれます。なお、実刑判決(拘禁刑)を受けただけで自動的に親権が失われるわけではありません。家庭裁判所が個別の事情を踏まえて判断します。
●特別養子縁組の可能性もある
とはいえ、上で書いたように長期の実刑判決が予想されるため、最終的に養育の見込みが立たないと判断されることもありえます。
この場合、「特別養子縁組」が行われることもあり得ます。実親との法的な親子関係が完全に終了し、新しい養親との間に法的な親子関係が生まれます。
特別養子縁組には、原則として実の父母の同意が必要です(民法817条の6本文)。ただし、父母による虐待や悪意の遺棄、その他「養子となる者の利益を著しく害する事由」がある場合には、父母の同意なしに成立させることもできます(同条ただし書)。
実際に、この「同意なし」を認めた裁判例もあります。名古屋家裁令和3年(2021年)2月26日審判の事案では、受刑中の実父が同意しませんでした。しかし家庭裁判所は、受刑中で自ら子どもを養育する能力に著しく欠けていることや、過去の暴力行為など複合的な事情を踏まえ、父の同意なしに特別養子縁組を認めました。
もっとも、「受刑中というだけで同意は不要」というわけではありません。あくまで家庭裁判所が様々な事情を総合的に考慮して判断します。
なお、特別養子縁組後に、実親の側から子どもを探すことは、戸籍制度上、極めて困難になっています。
縁組後の戸籍には実親の情報が記載されず、縁組前の戸籍も非公開が原則です。
一方、成長した子どもが自分の出自を知りたいと思った場合には、戸籍をさかのぼって実親に関する情報にアクセスできる仕組みになっています。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

