赤ちゃんのころにあったお尻の青アザが、大人になっても残っている……。そのような人もいるかもしれません。なぜ大人になっても青アザが残るのか、どのように消すのかなどの疑問について、池袋西口病院院長・美容皮膚科部長の船坂陽子先生(日本皮膚科学会皮膚科専門医)に聞きました。
※2026年2月取材。

監修医師:
船坂 陽子(池袋西口病院)
1988年3月神戸大学大学院医学研究科修了、医学博士。米国Yale大学、米国Cincinnati大学(文部省在外研究員)留学。2009年4月神戸大学大学院医学研究科皮膚科学分野准教授、2014年10月日本医科大学医学部皮膚科学教授、2024年3月日本医科大学定年退職、2024年4月日本医科大学名誉教授、2024年4月池袋西口病院美容皮膚科部長就任、2025年4月池袋西口病院院長就任。日本皮膚科学会皮膚科専門医、日本皮膚科学会認定美容皮膚科・レーザー指導専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医、日本レーザー医学会認定レーザー指導医、日本化粧医療学会認定化粧医療専門医。
お尻の青アザの正体は?
編集部
お尻にある青アザの正体は何ですか?
船坂先生
生まれつきの色素性のアザである「蒙古斑(もうこはん)」が多数を占めます。皮膚の深い層にメラニン色素を作る細胞(メラノサイト)が残るため、青や青灰色に見えます。赤ちゃんのころからお尻や腰に見られるケースが多く、日本人をはじめとするアジア系に多い点が特徴です。打撲による青アザとは異なり、痛みや腫れはなく、長期間同じ場所に残る傾向にあります。
編集部
青く見えるのはなぜですか?
船坂先生
メラニンを作る細胞が皮膚の深い部分にあるためです。皮膚に当たった光は内部で散乱します。波長の長い赤や黄色の光は吸収されやすく、波長の短い青い光が反射されて目に届くのです。通常のシミは浅い層にあるため茶色く見えますが、蒙古斑は深い位置に色素があるため青く見えます。
編集部
普通の青アザと見分けるポイントはありますか?
船坂先生
何年も同じ場所・同じ色で残っている場合は、蒙古斑を疑います。数週間〜数カ月で色が変化して消えていくものは、打撲の可能性が高いでしょう。お尻以外にも腕、足、おなかなどにできた蒙古斑は異所性蒙古斑(いしょせいもうこはん)といいます。
編集部
病気や異常のサインという可能性はありますか?
船坂先生
蒙古斑そのものは病気ではなく、健康への影響もありません。ただし、急に広がる、色が濃くなる、形が変わるなどの変化が表れた場合は、別の皮膚疾患の可能性もあるため注意が必要です。自己判断せず、皮膚科を受診してください。
なぜ大人になっても残っている?
編集部
蒙古斑は子どものうちに消えるのだと思っていました。
船坂先生
色素が皮膚の深い層に強く残っている場合は、大人になっても消えずに残る場合があります。蒙古斑は成長とともに薄くなる傾向にあるものの、体質による個人差があり、残ったとしても異常ではありません。範囲が広い、あるいは色が濃いと消えにくい傾向にあります。
編集部
大人になってから目立つように感じるのはなぜですか?
船坂先生
加齢やホルモンの変化などに伴い、皮膚の厚みや色調が変化するためです。子どものころは目立たなかった蒙古斑が、大人になってから気になり始めるケースがあります。また、下着や衣類との摩擦、日焼けによって周囲の皮膚色が変わると、相対的に濃く見える場合もあります。
編集部
生活習慣や座り方が影響しますか?
船坂先生
長時間の圧迫や摩擦により、色が強調されて見える場合があります。ただし、生活習慣によって蒙古斑そのものが作られるわけではありません。新たに蒙古斑ができるわけでもなく、基本的には生まれつきの性質によるものです。

