子どもの鼻水やせきが止まらないとき、春や秋であれば「花粉症かな? それとも風邪?」と迷う親は多いのではないでしょうか? 両者は経過が異なるため、正しく鑑別する必要があります。風邪と花粉症の見分け方について、おおやまこどもクリニック院長の大山伸雄先生(日本小児科学会小児科専門医)に話を聞きました。
※2025年4月取材。

監修医師:
大山 伸雄(おおやまこどもクリニック)
2007年昭和大学(現・昭和医科大学)小児科医局に入局、2009年千葉県こども病院新生児科、2010年昭和大学(現・昭和医科大学)横浜市北部病院こどもセンター、2016年に英国Evelina London Children's Hospital(エヴェリーナ・ロンドン小児病院)へ2年間の留学を経て、2018年昭和大学(現・昭和医科大学)病院小児循環器・成人先天性心疾患センター 講師に着任。資格および所属学会は、日本専門医機構 小児科専門医、日本小児MR研究会理事、日本小児循環器学会、日本周産期・新生児医学会、日本先天性心疾患インターベンション学会、日本循環器学会、日本成人先天性心疾患学会、Society for Cardiovascular Magnetic Resonance (SCMR)。
子どもの鼻水やせきが止まらない原因とは?
編集部
子どもの鼻水やせきが止まらない原因としては、どのような疾患が考えられますか?
大山先生
ウイルスなどの感染症や花粉症、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などが考えられます。
編集部
さまざまな原因が考えられるのですね。
大山先生
はい。せきや鼻水など表れる症状は似ていても、それぞれの疾患ごとに特徴があります。風邪の場合はせきや鼻水に加えて、発熱や倦怠感などの症状が表れます。花粉症では鼻づまり、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状が出ます。アレルギー性鼻炎では発熱や倦怠感などの全身症状は基本的に認められません。
編集部
症状の違いによって疾患を鑑別できますか?
大山先生
ある程度は可能です。花粉症やアレルギー性鼻炎であれば、発熱や倦怠感などの全身症状は認めにくい傾向にあります。正確に診断するためには、検査が必要です。例えばアレルギー性鼻炎の場合は、ハウスダストや花粉、カビ、ペットの毛などがアレルゲン(アレルギーの原因物質)となって発症するケースが多いため、血液検査で原因を調べます。
編集部
どのくらい症状が続いたら、診察を受けたほうがよいのでしょうか?
大山先生
食事がとれない、ミルクが飲めない、夜眠れないなど、日常生活に支障をきたしている場合は治療が必要な段階のため、受診をおすすめします。症状がそこまで悪化していなくても、困った症状があれば、いつでもかかりつけの小児科医に相談してください。
風邪と花粉症の見分け方
編集部
最近、子どもの花粉症が増えているというのは本当ですか?
大山先生
はい。調査によっては、5~9歳の子どもにおける花粉症の有病率は約30%、10代では約半数にのぼると報告されています。つまり2人に1人は花粉症という割合です。1998年に実施された過去の調査では、10代の有病率は20%程度でした。この数値からも、年々有病率が上がっていると分かります。
編集部
なぜ、花粉症の子どもが増加しているのでしょうか?
大山先生
花粉の飛散量増加や大気汚染などの環境変化、アレルギー体質の遺伝や鼻粘膜の機能低下などを原因として、花粉症を発症する子どもが増加していると考えられています。
編集部
花粉症とアレルギー性鼻炎の違いは何ですか?
大山先生
花粉症はアレルギー性鼻炎の一種です。アレルギー性鼻炎には通年性と季節性があります。通年性の原因にはハウスダストやカビ、ペットの毛などがあります。一方、季節性の代表的な疾患が花粉症です。
編集部
花粉症と風邪を見分けるポイントを教えてください。
大山先生
両者は症状の出方が異なります。花粉症の場合、鼻水は透明でサラサラしています。一方、風邪の場合は、黄色みがかっていて、粘り気のある鼻水が出る傾向があります。
編集部
鼻水以外にも違いはありますか?
大山先生
全身症状の有無が異なります。花粉症の場合は鼻水や目のかゆみなどの症状を伴うケースが多いものの、全身の健康状態は比較的良好に保たれます。一方、風邪の場合は鼻水に加えて、発熱や喉の痛み、全身倦怠感などさまざまな症状が表れます。
編集部
さらに見分けるポイントはありますか?
大山先生
せきの出方もポイントです。風邪のときはせきが目立つケースが多い一方、花粉症ではあまり目立たない傾向にあります。花粉症でせきが出る場合でも、花粉が気道粘膜を刺激して生じる、痰を伴わない乾いたせきが中心です。一方、風邪では痰が絡んだゴホゴホとした湿ったせきが多くみられます。

