●技術的に「危ない発信」を止める仕組みを
元モバイルコンテンツ審査・運用監視機構理事の上沼紫野弁護士は、日本の「青少年インターネット環境整備法」の成立当初から制度に関わってきた立場から、日本の規制の歴史や課題について説明した。
上沼弁護士は、現在の法律が「閲覧防止」を中心に設計されている点を問題視。「インターネットの本質は相互性や発信にあるのに、受信だけを問題にしている」と指摘した。
そのうえで、子どもによる「自画撮り画像の送信」や誹謗中傷投稿など、“発信側”のリスクへの対策が不十分だとうったえた。
実際に、弁護士会に寄せられる子どもからの相談には、「自画撮り画像を送ってしまった」「児童ポルノ画像を転送してしまった」「誹謗中傷投稿をしてしまった」といった自ら発信した行為に関するものが多いという。
上沼弁護士は、「送る前に危険を察知して警告する仕組み」や「肌色の多い画像送信を止める機能」など、技術的な対策の必要性を指摘。「本当に危ない投稿の時だけ警告を出す仕組みは有効だ」と述べた。

●「蓋をする」だけでなく包括的な議論を
また、上沼弁護士は、オーストラリア型の規制についても、「禁止されていたものが、16歳になった瞬間にSNSデビューするほうが怖い」と懸念を示した。
「小さく失敗しながら、徐々にネットとの付き合い方を学ぶ環境が必要だ」と語った。
最後に上沼弁護士は、「青少年保護の議論がされていること自体はありがたい」としたうえで、「ただ『蓋をすればいい』と思ってほしくない。見えているところに蓋をしても、問題は横から出てくる」と述べ、包括的な議論の必要性をうったえた。
これを受け、齋藤氏はこの問題を「振り子」に例えた。規制強化の方向と自由尊重の間で社会が揺れ動きながら、議論そのものを成熟させていくプロセスが重要だと語った。

