ただの便秘ではない? と感じたら―受診の目安と予防のポイント
編集部
便秘で医療機関を受診すべきタイミングについて教えてください。
柏木先生
以下の場合は受診することをお勧めします。
① 2週間以上便秘が続く
② 便秘と下痢を繰り返す
③ 血便・粘液便を伴う
④ 意図しない体重減少や貧血症状がある
⑤ 市販の便秘薬を継続しても改善しない
⑥ 40歳以上で突然便秘が始まった
⑦ 排便パターンが明らかに変わった
特に40歳を迎えたら自覚症状の有無にかかわらず、一度は大腸内視鏡検査を受けることを強くお勧めします。便秘は大腸がんを発見する重要な糸口になることがあります。おかしいなと思ったタイミングが適切な受診時期です。
編集部
市販薬やサプリメントを使う場合、注意すべきポイントはありますか?
柏木先生
市販の便秘薬のうち、センノシドやセンナなどの刺激性下剤は即効性がある一方で、長期使用により腸が薬に依存して自力で動かなくなる「結腸無力症」を招くリスクがあります。また長期使用で大腸メラノーシス(腸壁の色素沈着)が生じることも知られています。
食物繊維サプリや乳酸菌・ビフィズス菌は食事からも摂れる栄養素で、腸内環境の改善が期待できますが、あくまで補助的な役割です。消化器内科では慢性便秘症の治療薬が複数あり、症状に合った薬剤を処方できます。市販薬を2週間以上使用しても改善しない場合や、血便などの症状を伴う場合は、必ず医師に相談してください。自己判断での長期服用は避けましょう。
編集部
日常生活でできる便秘の予防や改善方法について、食事・運動・生活習慣の観点でそれぞれ教えてください。
柏木先生
便秘の予防・改善には生活習慣全体を整えることが基本となります。
食事面では食物繊維を意識的に摂ることが重要です。食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、便が硬い人は水溶性(海藻・果物・オクラ・なめこなど)を、便のカサが少ない人は不溶性(ごぼう・きのこ類・豆類など)を意識して摂ると効果的です。また水分は1日1.5〜2Lを目安に意識して摂りましょう。
運動面では、毎日30分程度のウォーキングなどの有酸素運動が腸の蠕動(ぜんどう)運動を促します。生活習慣としては、朝食後決まった時間にトイレに座る習慣をつける、ヨーグルトや納豆などの発酵食品を食べて腸内環境を整える、過度なストレスを避けてリラックスできる時間を確保するといった対策を意識するとよいでしょう。無理なく組み合わせて継続することが大切です。
編集部まとめ
便秘は身近な症状ですが、「いつもと違う便秘」には注意が必要です。急に便秘が始まった、便が細くなった、血便や体重減少を伴うといった変化は、大腸がんなどの病気を知らせるサインである可能性があります。市販薬で様子を見続けるのではなく、気になる変化がある場合は早めに消化器内科へ相談しましょう。本稿が読者の皆様にとって、便秘を見直し、適切な受診を考えるきっかけとなりましたら幸いです。

