「ママ(瑠美)とは会っていない」とライから聞いた、サチ。彼の話をくわしく聞いてみると、ここ2週間は姿を見ていないという。それは、サチが瑠美と例の彼氏が夜中に一緒にいるところを見かけはじめた期間と同じであった。心配になったサチは、ライにごはんをつくってあげることにし…。
母親が居ない2週間
ライくんから話を聞いた私は、「もっとはやく気づいてあげられていたら」と後悔した。
「ぼくが寝てる間に帰ってきて、起きる前にお仕事行ってる」
彼の持つ袋の中身に目を配ると、カップラーメンとおにぎり、おかしが何個か入っているのが見えた。
「じゃあ…ここ最近はずっと、こういうラーメンとかしか食べてないの?」
「いろいろ食べたけど…これがいちばんおいしいから、ずっとこれ」
「そっか…でも…」
ここから先の言葉は、すんなり出てこなかった。瑠美さんのことをこれ以上聞くのは、大きなお世話かもしれない。ライくんは、むしろ「自由に過ごせてラッキー」と思っているかもしれない。
「お母さん、いつ帰ってくるの?」
「え?分かんないよ」
「そうだよね…」
「がんばっておそくまで起きてるけど…やっぱり寝ちゃうから」
その言葉を聞いて、彼がおそくまでゲームをやっていたのは、「母親の顔を見るため」だったのかなと、少し胸がいたんだ。
普通にあそびたくて夜更かししていただけかもしれないが、この言葉が自然に出てくるということは…それが本心だからだと思う。
おせっかいだと思われても
(お母さんが帰ってくるのを、彼は待っていたんだ)
「そっか…でも、夜ふかしはダメだよ。ゲームのしすぎもダメ!」
「え、なんで分かったの!」
「ライくんの声、ちょっとだけ聞こえるの」
「ええー!ごめんなさい…」
「いいよ。でも、本当にちゃんと寝なきゃダメだよ?大きくなれないよ?」
「分かった…」
「あと、明日もお母さんおそくなるようだったら、うちに食べにおいで。お昼も夜もライくんのごはん用意しておくから」
「え、でも」
「お母さんには、ちゃんと連絡しておくから」
私はライくんが家に入るのを見どとけてから、自分の家にもどった。
勢いでライくんに言ってしまったけれど、瑠美さんにショートメッセージをおくった。
「瑠美さん、こんにちは。サチです。ごはんつくりすぎちゃった時、お裾分けさせていただいてもいいですか?瑠美さんがいらっしゃらなかったら、ライくんにわたしておきます」
それから3時間ほどすぎたころに「すみません…!感謝です!」と返事があった。
とりあえず拒絶されなかったことに安堵し、明日のお昼ごはんのメニューを考えることにした。

