●被害者1名でも死刑となった裁判例もある
死刑と無期を分ける基準として、最高裁は昭和58年(1983年)の永山事件判決で、犯罪の性質・動機・犯行態様(残虐性など)・結果の重大性(特に被害者の数)・遺族の被害感情・社会的影響・犯人の年齢・前科などを総合的に考慮するとしました(「永山基準」)。
実務上は、被害者が1名の場合、無期にとどまることが多いと考えられます。
ただし、被害者1名でも死刑が確定した裁判例もあります。
たとえば、1979年に北九州市で起きた病院長の殺害事件は、被害者1名、共犯者2名による強盗殺人事件です。この事件では、共犯者2人に死刑が言い渡されています。
事前の緻密な計画、遺体の切断・海への投棄、反省のない態度などが重視されました。その後死刑が確定しています(最高裁第2小法廷昭和63年(1988年)4月15日)。
また、2007年に名古屋で起きた「闇サイト殺人事件」では、インターネットで集まった3人により、強盗目的で女性が拉致され、殺害されています。
この事件では、計画性の高さと犯行の悪質性が重視され、2名に死刑、自首した1名に無期懲役刑(現在の無期拘禁刑)が言い渡されています(名古屋地裁平成21年(2009年)3月18日)。
いずれも計画性・主導性・残虐性が顕著だった事案で、被害者数の少なさを補うほどの悪質な事情があったと評価されたと考えられます。
●無期が有力だが死刑もあり得ない話ではない
本件も、亡くなった方が1人であることからは、基本的には無期拘禁刑となる可能性が高いと考えられますが、事前の計画性の高さ、犯行の悪質性、反省の態度、前科などの様々な事情が明らかになった場合には、より重い選択がされる可能性は否定できません。
具体的な事情は今後明らかになると思われますが、たとえば、計画性が高い組織的な犯行だったり、首謀者として中心的な役割を果たしていたり、リアルタイムで犯行を指示・統制し、少年らを脅迫的に支配下に置いていたなどの事情が裁判で認められた場合、より重い選択もあり得ます。
特に、当初から殺害までを計画し、そのような指示をしていたか否かは大きな問題になりそうです。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

