歯茎からの出血、口臭、歯がぐらつく感覚——これらは歯周病が発するサインかもしれません。痛みが出にくいこの病気は、症状に気づいたときには進行していることも少なくありません。軽度から重度まで、進行度別の症状と特徴を整理しながら、早期に対処するための知識をお伝えします。

監修歯科医師:
木下 裕貴(歯科医師)
北海道大学歯学部卒業。同大学病院にて研修医修了。札幌市内の歯科医院にて副院長・院長を経験。2023年より道内の医療法人の副理事長へ就任。専門はマウスピース矯正だが、一般歯科から歯列矯正・インプラントまで幅広い診療科目に対応できることが強み。『日本床矯正研究会』会員であり小児の矯正にも積極的に取り組んでいる。
歯周病と認知症:予防のために今できること
歯周病と認知症のリスクを減らすために、日常生活の中でできる取り組みはたくさんあります。特別なことを始める前に、基本的な口腔ケアの習慣を見直すことが大切な第一歩です。
日常の口腔ケアで歯周病を防ぐ方法
歯周病の予防に効果的な口腔ケアの基本は、正しい歯磨き方法の実践です。ブラシを歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当て、軽い力で小刻みに動かす「バス法」が一般的に推奨されています。力を入れすぎると歯ぐきを傷つけるため、注意が必要です。
フロスや歯間ブラシを使った歯と歯の間のケアも欠かせません。歯の表面の汚れのうち、歯ブラシだけでは届かない部分が多くあります。フロスを毎日使う習慣をつけることで、歯周病のリスクを大幅に下げることができます。また、洗口液(マウスウォッシュ)を補助的に使うことで、口腔内の細菌数を減らす効果も期待できます。
歯科医院での定期メンテナンスの重要性
どれだけ丁寧に自宅でケアを行っても、歯石は一定期間が経つと形成されてしまいます。歯科医院での定期的なクリーニング(スケーリング)によって歯石を除去することが、歯周病の予防・管理において重要な役割を果たします。
3〜6ヶ月に1回の頻度で歯科を受診し、口腔内の状態を確認してもらうことが望ましいとされています。歯周病は早期に対処するほど、治療の効果が出やすく、歯を長く健康に保てる可能性が高まります。認知症のリスクを意識した口腔ケアという観点からも、定期メンテナンスを生活習慣の一部に組み込むことをご検討ください。
歯周病の見逃してはいけない初期症状
歯周病は痛みが出にくい病気であるため、自分では気づきにくい特徴があります。しかし、早期に気づいて対処することで、進行を抑えられる可能性があります。ここでは、歯周病の初期サインとして現れやすい症状を紹介します。
歯ぐきからの出血と腫れ
歯周病の初期サインとして、歯磨きのときに歯ぐきから出血するという症状があります。健康な歯ぐきは歯磨きで出血しません。出血が繰り返し見られる場合は、歯ぐきに炎症が起きているサインである可能性があります。「歯磨きで血が出るのは力が強すぎるから」と思っている方も多いですが、実際には歯ぐきの炎症が原因であるケースが少なくありません。
歯ぐきが腫れて赤くなっている場合も、歯周病の可能性を示すサインです。健康な歯ぐきは薄いピンク色でしまりがありますが、炎症が起きるとぶよぶよと柔らかくなり、赤みや腫れが生じます。食事の際に歯ぐきが痛む場合も、炎症が進んでいる可能性があります。これらの変化に気づいたときは、早めに歯科を受診することをおすすめします。
口臭と口腔内の変化
口臭も歯周病のサインの一つです。歯周病菌が増殖すると、硫化水素やメチルメルカプタンといった揮発性硫黄化合物が産生され、強い口臭の原因となります。歯磨き後も口臭が気になる場合は、口腔内に何らかの問題が起きているサインかもしれません。
歯と歯の間が広がった、歯が長くなったように感じるといった変化も、歯周病が進行しているサインです。これは歯ぐきが下がり(歯肉退縮)、歯の根元が露出してきていることを示しています。また、歯がぐらぐらする感覚は、歯槽骨が溶けて歯を支える力が弱まっている可能性があり、早急な受診が必要です。

