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白血病治療の最前線:新薬開発で「全員を助ける」未来へ

白血病治療の最前線:新薬開発で「全員を助ける」未来へ

白血病は、診断された時点ですでに全身の骨に広がって、血液中にがん細胞が溢れていることが多い「血液のがん」です。抗がん剤治療で一時的に症状が改善しても、再発に苦しむ患者さんは少なくありません。「なぜ白血病は再発するのか」「どうすれば根治できるのか」。東京科学大学包括病理学分野 教授/理化学研究所の石川文彦先生は、患者さんから提供された数百名分の細胞を使って病気を再現し、患者さんの遺伝子などを調べ“白血病細胞だけを狙い撃ち”する治療法の開発に成功しました。実業家で予防医療普及協会理事の堀江貴文さんと高校の同級生でもある石川先生が、白血病治療の最前線について語り合いました。

※2026年1月取材。

石川先生

石川文彦先生

東京科学大学大学院医歯学総合研究科 包括病理学分野 教授。九州大学医学部卒業。九州大学病院で臨床研修。米サウスカロライナ医科大学留学を経て、理化学研究所で研究室を主宰し白血病など血液がんの病態解明と治療開発に従事。専門は病理学、血液学、免疫学。所属学会は日本病理学会、日本血液学会、日本免疫学会、日本癌学会、米国血液学会、米国癌学会。米国癌学会の学術誌Cancer Researchシニアエディター。

堀江氏

堀江 貴文(実業家/一般社団法人予防医療普及協会 理事)

福岡県出身。実業家、著作家、投資家、タレント。東京大学在学中にライブドアの前身となるオン・ザ・エッヂを設立し、IT企業として急成長させる。プロ野球球団買収やニッポン放送への敵対的買収など、その型破りな手法で世間の注目を集めた。現在は予防医療普及協会の理事を務め、医療業界にも携わるほか、ロケット開発を行うインターステラテクノロジズのファウンダー、会員制オンラインサロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」の主宰、SNS media&consulting株式会社のファウンダーなど多岐にわたる分野で活動している。

白血病は「血液のがん」

白血病は「血液のがん」

堀江氏

そもそも白血病はどういう病気ですか?

石川先生石川先生

白血病は「血液のがん」です。私たちの血液の中には赤血球、血小板、白血球という3つの細胞が流れており、これらすべてを作っている大元の細胞を造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)といいます。
白血病はこの造血幹細胞に遺伝子異常が発生することで発症し、白血病の腫瘍細胞がどんどん増えると同時に、血液を作る正常な機能が失われます。

堀江氏

正常な機能が失われるというのは?

石川先生石川先生

白血球は私たちの免疫機能を担っている細胞です。白血病では白血球の供給源がいなくなってしまうので、免疫が効かなくなります。その結果、正常時は大丈夫だったのに風邪にかかりやすくなる、出血しやすくなるなどの変化が生じます。
もう一つの大きな特徴は、白血病細胞が骨の中で増えて血液中に流れ出すということです。固形がんで言う「転移」がありますよね。白血病は診断がついた時点で、すでに白血病細胞が全身をぐるぐる回っている転移の状態です。これが治療を難しくしている大きな理由です。

堀江氏

先生は、なぜ白血病の研究を始めたのですか?

石川先生石川先生

かつて私は臨床医として、日本の患者さんに欧米の治療法を提示・説明していました。「この治療であなたが助かる確率は何%で、治療薬には強い副作用があります」と。しかしこれで本当によいのだろうかとも思っていました。
欧米の治療法を日本に持ち込んで「助かる確率は30%です」と言うのではなく、一人ひとりの患者さんを大事にして、一人ひとりを助けていきたい。そう真剣に思った時、白血病の克服を目指して本気で研究に取り組む決意をしました。

白血病は寛解しても再発する

白血病は寛解しても再発する

堀江氏

抗がん剤治療を受けた患者さんはどのような経過をたどるのですか?

石川先生石川先生

多くの患者さんでは、いったん白血病細胞の数が減ります。これを「寛解(かんかい)」と呼びます。治癒ではありません。抗がん剤治療を始めると白血病細胞はどんどん少なくなっていきますが、一番の問題は再発です。再発とは、治療がうまくいったように見えても実はがんが残っていて再び現れたり、大きくなったりすることをいいます。再発は患者さんだけでなく、主治医にとっても非常に悲しい現象です。
多くの白血病細胞は抗がん剤治療によって死んでいく一方で、抗がん剤では殺すことができない白血病細胞がわずかに存在するのです。私は、これが何であるかを明らかにしなければならないと考えました。

堀江氏

患者さんの体内で何が起きているのか、どのようにして調べたのですか?

石川先生石川先生

病気の中心部位は骨の中ですが、骨の中を覗くことは基本的にできません。従来のほとんどの研究では、ネズミの遺伝子を変えて白血病ネズミを作ります。しかし、それでは患者さん一人ひとりの違いが分かりません。
そこで私たちは、患者さんの個別の白血病細胞を使って、それぞれの病気の状態を一つひとつマウスで再現しました。

堀江氏

何人くらいの患者さんが協力してくれたのですか?

石川先生石川先生

19年間一緒に仕事をしている虎の門病院の協力もあり、約800名の患者さんがご自身の白血病細胞を提供してくれました。「自分たちには間に合わないかもしれないけど、やがて同じ病気になった人を助けてほしい」という善意で送ってくれたのです。
染色された白血病再現マウスの骨の中を詳しく見ると、紫様色に染まった部分に白血病細胞が詰まっていました。抗がん剤を投与するとすっきりしたように見えるのですが、よく観察すると端っこに濃い紫色の物質がギュッと詰まっている様子が確認でき、どうもこの部分から再発しているらしいことが分かりました。

堀江氏

残っている細胞にはどのような特徴がありますか?

石川先生石川先生

がんや白血病といえば、どんどんがん細胞が増えていくイメージですよね。実際、骨の中心部ではどんどん増えているのですが、端っこに近い部分は非常に穏やかな増え方でした。端の部分は細胞分裂が遅いために、抗がん剤が効かない。これが、従来の治療では再発する一つの原因だと分かりました。
同じ患者さんにもさまざまなタイプの白血病細胞があり、骨の中の場所によって性質が異なるのです。穏やかに暮らしている白血病細胞は、抗がん剤で殺すことが難しい一方、わずかでも残ってしまったら、残存場所から再発してしまいます。

堀江氏

裏を返せば、その特徴を捉えられれば治療法が見つかるということでしょうか。

石川先生石川先生

まさにそうです。こうした白血病細胞の特徴を捉えたので、あとは治療する手立てを見つけることができれば、再発を抑制し、患者さんを治すことができるのではないかと非常に意気込んだことを覚えています。

配信元: Medical DOC

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