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白血病治療の最前線:新薬開発で「全員を助ける」未来へ

白血病治療の最前線:新薬開発で「全員を助ける」未来へ

「悪い細胞だけ叩く」新たな治療薬の開発

「悪い細胞だけ叩く」新たな治療薬の開発

堀江氏

新しい治療法を開発する上で気を付けたことは何でしたか?

石川先生石川先生

ありがちな考え方は「とにかく手当たり次第に白血病細胞を殺せば良い」です。しかし、正常な細胞も一緒に叩くと、白血球、赤血球、血小板のいずれも作れなくなり、貧血や出血が増してしまいます。
白血病細胞だけにあって、正常な細胞にはないものを標的にして狙い打ちできれば、副作用を少なくしながら白血病細胞だけを叩き潰すことができます。何百名もの患者さんたちの細胞で何度も実験を繰り返して、ようやく標的を見つけました。

堀江氏

具体的にはどのようにして薬を開発するのですか?

石川先生石川先生

たった一つだけある鍵穴に合う正しい鍵を見つけ出すイメージです。炭素、水素、酸素など、ほとんど同じように見える化合物の中から鍵穴に入る最適なものを見つける必要があります。実際に目で見ることは不可能なので、理化学研究所の「富岳」や東京科学大学の「TSUBAME」というコンピュータで計算し、2万個ある白血病細胞の遺伝子の候補から選びました。

堀江氏

化合物は新しく作ったものですか?

石川先生石川先生

新しいものです。最初はほかの会社が使った候補を試したものの、いくつかの問題が生じたため、完全に新しい化合物を作る方針に変えました。特許も取得しています。

堀江氏

最初の候補はなぜうまくいかなかったのですか?

石川先生石川先生

最初の候補は、標的タンパク質の一部まで届きませんでした。届かないと、また白血病細胞が増え出して再発します。そこで、標的まで届くように化学構造を長くデザインしました。最終的には、適切に標的へと届く化合物が完成しました。

堀江氏

しかし、白血病細胞には2万個も遺伝子があるのに、そのうちの1個を抑えただけで効くのですか?

石川先生石川先生

その点は私たちも疑問で、検証が必要でした。そこで抗がん剤に抵抗性を示して亡くなられたとある患者さんの状態をマウスで再現し、開発中の新薬を投与して骨にどのような変化が起こるか、また肝臓や腎臓に副作用が生じないかを検証しました。

堀江氏

結果はいかがでしたか?

石川先生石川先生

この患者さんは従来の抗がん剤が全く効かず、骨は真っ白で、脾臓という臓器がパツパツに腫れあがっていました。
ところが新しい薬をマウスに投与したところ、1週間で骨が赤くなったのです。これは出血ではなく、正常な赤血球が戻ってきたことを示しています。脾臓も正常に戻りました。
さらに、新薬による治療を続けた結果、紫色の正常な白血球が増えてきました。白血病細胞は消えて正常な細胞が戻ってきたことから、新しい薬は従来の抗がん剤のように正常な細胞まで叩き潰さず、白血病細胞のみに作用していることが証明されました。

堀江氏

この治療法で、どれくらいの患者さんが助かるようになるのですか?

石川先生石川先生

最初の薬に関しては、急性骨髄性白血病の場合、おそらく20%程度と予測しています。ただし、ほかにもさまざまな手段を構築しています。若い頃に患者さんのそばにいて「全員を助ける」と誓いました。この決意を実現してみせるという想いでいます。
一つの薬で100人全員を助けるというよりも、一つひとつ開発を積み重ねて、10種類の治療薬が手に入った時に、全員を助けるようなイメージですね。

堀江氏

HIVもカクテル療法で死なない病気になってきましたよね。

石川先生石川先生

本当にそうですよね。僕らもそれを目指しています。

実用化に向けて:患者さんへのメッセージ

実用化に向けて:患者さんへのメッセージ

堀江氏

実用化はいつ頃になりますか?

石川先生石川先生

一日も早く届けたいところですが、最初の薬が治験に入るまで1年半から2年程先になる見込みです。まず動物で安全性を確認して、その後に治験の第Ⅰ相、第Ⅱ相、第Ⅲ相といった段階(フェーズ)を踏む必要があります。時間もお金もかかりますが、必ず実現させます。

堀江氏

最後に、患者さんへメッセージをお願いします。

石川先生石川先生

患者さんたちが「俺たち死んでも先生が近くにいた方がいいやん」と言ってくれたことをよく覚えています。しかし、研究で多くの人たちを助けると誓ったからには、必ずそれを実現して、今は天国にいる患者さんたちにも「叶えたよ」と報告に行けるように、毎日を大事にしたいと思っています。皆さん、どうか待っていてください。

堀江氏

何年後かにまた再会した時「白血病は全部治る時代になりつつある」と言ってもらえる日を迎えたいですね。

石川先生石川先生

ぜひその言葉を患者さんたちに届けたいと思っています。

配信元: Medical DOC

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