医療保険と介護保険の優先順位

訪問看護では、利用者の年齢や要介護認定の有無、病気の状態によって、医療保険と介護保険のどちらが適用されるかが決まります。制度の仕組みを理解するうえで大切なのは、両方を自由に選べるわけではなく、一定のルールに沿って優先順位が定められていることです。どちらの保険が使われるかによって、利用できる回数や費用負担、手続きの流れも変わるため、基本的な考え方を押さえておきましょう。
まず介護保険の対象となる方については、原則として介護保険が医療保険より優先されます。具体的には、要支援または要介護の認定を受けている方が訪問看護を利用する場合、まず介護保険による給付が基本です。
ただし、介護保険の対象者であっても、すべてのケースで介護保険になるわけではありません。末期の悪性腫瘍、厚生労働大臣が定める疾病など、急性増悪による特別訪問看護指示書が交付された場合、精神科訪問看護指示書が交付された場合などでは、医療保険による訪問看護が適用されることがあります。
参照:『訪問看護』(厚生労働省)
医療保険と介護保険|訪問看護で受けられるサービスの違い

訪問看護は、医療保険でも介護保険でも、看護師などが利用者の自宅を訪問して療養上の世話や必要な診療の補助を行う点は共通しています。一方で、どちらの保険が適用されるかによって、サービスの位置づけや利用の組み立て方、提供頻度の考え方には違いがあります。ここでは、医療保険と介護保険それぞれで受けられる訪問看護の内容を解説します。
医療保険|訪問看護で受けられるサービスの内容
医療保険による訪問看護では、主治医の指示に基づき、病状の観察、点滴や注射、褥瘡処置、カテーテル管理、在宅酸素や人工呼吸器の管理、服薬支援など、医療的な管理を中心とした支援が行われます。
また、医療保険では、病状が不安定で頻回の訪問が必要な場合や、厚生労働大臣が定める疾病などに該当する場合、特別訪問看護指示書が出ている場合などに、週4日以上の訪問や1日複数回の訪問が認められることがあります。このように、病状の急な変化に対応しやすい点は、医療保険による訪問看護の大きな特徴です。
参照:『訪問看護のしくみ』(厚生労働省)
介護保険|訪問看護で受けられるサービスの内容
介護保険による訪問看護でも、健康状態の観察、服薬確認、清潔ケア、医療処置の補助、リハビリテーションの支援などを受けることができます。ただし、介護保険では、訪問看護は在宅生活を支える介護サービスの一つとして位置づけられ、ケアマネジャーが作成するケアプランに沿って利用されるのが基本です。
そのため、介護保険での訪問看護は、医療的ケアそのものだけでなく、日常生活を維持するための支援や、ほかの介護サービスとの組み合わせのなかで提供される点が特徴です。利用回数やサービスの組み方も、ケアプラン全体のなかで調整されるため、医療保険と比べると、生活支援との一体性がより強いといえます。一方で、病状によっては前述のように医療保険が優先される場合があるため、実際の適用は主治医やケアマネジャー、訪問看護ステーションと確認しながら進めることが大切です。

