◆開発のヒントは “ロウ”
そのアイディアを具現化するため、業務用の主力商品として展開しているオイルソースの技術を応用することにした。オイルソースとつけ旨オイルの開発を手がけた根岸宏樹取締役商品本部長兼調達部担当は「最大の壁は、油の中の成分の分散と粘性の確保だった」と明かす。
「水と油」のたとえにもあるように、液体の粘度を高める水溶性の増粘剤と油を混ぜ合わせて一体化させるのは難しい。増粘剤と油が二層に分離してしまうからだ。「作りたいものがあるのに、そこから前に進めない。これからどうするか、と行き詰っていた時、ロウソクのロウを見てひらめいた」と根岸氏。熱で溶け、冷えると固まる性質を調味料にも応用できないか――。
こうした機能を持つ食用原料を全国から探し出し、ようやく1社、理想的な原料を扱うメーカーに辿り着いた。この原料の導入により、油の中に塩や香辛料を均一に浮遊させることに成功し、念願だったオイルソースを製品化することができた。従来の調味料に比べて素材の経時変化が少なく、ロスの削減にもつながることから、2013年の発売以来、スーパーの中食や味付け肉用途を中心に引き合いが増え、現在では業務用のオイルソースとしてシェアを大きく伸ばしている。
つけ旨オイル 焦がし醤油味
◆業務用のノウハウを家庭用に生かす
しかしながら業務用で培ったこの技術を家庭用製品のつけ旨オイルへ応用するハードルは高かった。一般的なドレッシングや調味料とは異なり、容器に詰める際、常に撹拌(かくはん)し続け、最初から最後まで油・塩・香辛料を均一の状態で充填する必要があるためだ。「既存の製造設備ではどうにもならず、つけ旨オイル専用の機械を導入した。当社のノウハウを注ぎ込み、約2年かけてなんとか完成させることができた」(根岸氏)。結果として、これまでの苦労は他社の追随を許さない参入障壁にもなっている。
根岸取締役
今後の展開について、根岸氏は「私たちの目標はつけ旨オイルを第二の『味・塩こしょう』に育てること。若い世代に日常的にダイショーの調味料を使っていただき、彼らが親世代になったときにも選ばれ続ける、ライフサイクルに組み込まれたブランドにしていきたい」と話す。つけ旨オイルの初年度売上目標は1品あたり1億円。将来的にはフレーバーの追加を検討しており、5年後にシリーズ計10億円到達をめざす考えだ。

