介護医療院への入所を検討する際に、「いつまで入れるのか」「最期まで過ごせるのか」と不安に感じる方は少なくありません。
介護医療院は、長期的に医療や介護を必要とする方が生活できる施設で、原則として入所期間に制限はありません。しかし、病状や身体機能の変化などにより、ご自宅やほかの医療機関・介護施設へ移行する場合があります。そのため介護医療院に入所できる期間だけではなく、どのような理由で退所が検討されるのか、退所後の選択肢を理解しておくことが大切です。
本記事では、介護医療院への在籍期間の目安や退所の理由、その後の選択肢を解説します。今後の生活を見通せる施設を選ぶ際の参考にしてください。

監修作業療法士:
稲木 康平(作業療法士)
経歴:回復期病棟で約9年ほど、患者様やご家族様のニーズに合わせたリハビリテーションを実施する。また、数多くの患者様に対して、退院後に快適な生活を過ごされるための自宅の環境調整や、介護サービスの提案、家族指導も行ってきた。
資格:作業療法士免許、医療経営士3級
介護医療院にはいつまで入れる?

介護医療院に入所した場合、どの程度の期間の入所が可能なのか、またその理由も解説します。
原則として入所期間の上限はない
介護医療院には、原則として法令上の入所期間の上限は定められていません。なぜなら、介護保険法で介護医療院が主として長期にわたり療養が必要な要介護者を対象とした施設と定義されているためです。
介護医療院は点滴管理や褥瘡ケア、気管切開の管理などを受けながら、食事や入浴などの生活支援を受けられる場所です。家庭やほかの施設での対応が難しい方が、長期的に療養する場として利用されます。
ただし、永久的に入所できることが保証されているわけではありません。病状の変化により、急性期での医療が必要になった場合や、医療的な管理の必要性が低下した場合には、転院や他施設への移行が検討される場合があります。
原則として入所期間の上限はありませんが、例外があることは知っておきましょう。
参照:
『介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準』(法令検索)
『介護医療院の概要』(厚生労働省)
長期入所が可能な理由
介護医療院が長期入所が可能な理由は、制度上退所期限が設定されておらず、治療だけでなく生活の場として利用できる施設として位置づけられているためです。医療と介護の両方を継続して提供できる体制が整えられているため、在宅や介護施設では対応が難しい方でも、長期にわたり生活を続けることが可能です。
また、介護医療院は入所された方の尊厳を保持し、自立を支援しながら、地域に根ざした生活を支える施設として役割が期待されています。
参照:
『介護医療院とは』(厚生労働省)
『介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯』(厚生労働省)
介護医療院の在籍期間の目安と退所理由

介護医療院の入居期間に上限はありませんが、実際にどのくらいの期間を過ごしているか、どのような理由で退所になるのかを知ると、入所後の生活をイメージしやすくなります。
ここでは、介護医療院の平均的な在籍期間と退所の理由を解説します。
平均的な在籍期間の目安
在籍期間は、入所された方の病状や身体機能、ご家族の介護体制などによって異なります。例えば医療処置が継続して必要な方や、在宅での生活が難しい方は長期入所となる傾向があります。一方で、心身機能が改善した場合や、ご家族の介護体制が整った場合は短期間で退所となる場合もあります。
介護医療院は2018年に創設された施設であるため、在籍期間の統計は前身の介護療養型医療施設や、移行後の初期調査に基づくものが中心です。また、生活の場としての機能や看取りへの対応が進められていることもあり、長期にわたり入所する方もいます。
厚生労働省の報告では、介護療養型医療施設の平均在所日数は2013年で484日、約1年半とされています。数ヶ月で退所となるケースもありますが、これは容体の急変による医療機関への転院や、短期間での看取りなどによるものです。
つまり、安定して生活している方の多くは、年単位の在籍となることが一般的です。
参照:『介護療養型医療施設及び介護医療院 (参考資料)』(厚生労働省)
退所となる主な理由
介護医療院の退所理由には、ほかの病院への移動や、死亡が多く挙げられます。2023年度の厚生労働省の報告では、退所者の50.8%が施設内での死亡という結果でした。
つまり、介護医療院が人生の最期を過ごす場所として機能を果たしているのです。
介護医療院は、医師や看護師が配置されており、体調の変化に応じた医療的な対応を受けながら生活を続けられる点が特徴です。また、医療と介護の両方を必要とする重症度の高い方が入所する施設であることから、死亡による退所となる割合が高い傾向にあります。
積極的な治療を望まず、自然のままに最期を迎えたいご本人やご家族の意向を尊重したケアが行われる場合もあり、施設内で看取りが行われることは珍しくありません。
参照:『介護医療院』(厚生労働省)
看取りまで入所できるケース
看取りまで入所できるケースは、在宅復帰が難しく、生活の場として継続的な医療と介護が必要な方です。看取りでは医師や看護師、介護職員などの多職種が連携し、ご本人の苦痛をできるだけ和らげる体制が可能です。
また、ご家族が安心して付き添えるよう、面会時間の調整や個室の利用などを配慮する場合もあります。
看取りのようなケースは、退院や転院を前提としておらず、在籍期間が数ヶ月から年単位と柔軟な傾向です。
また、ご本人やご家族が介護医療院での看取りを希望し、方針が共有されている場合には退所せず最期まで入所を続けることもあります。

