「度重なる法改正で充実する制度。しかし職場が追いつかない実態も」と、大畑さん
「度重なる法改正で、企業側の制度整備や管理職側の理解が追いついていない、という声もたびたび耳にします。企業が適切な制度を提案してくれることが理想ですが、私たちの側も時に提案して、一緒に模索していく姿勢を心がけるとよいのかもしれません。
妊娠期はつわりなど体調不良を考慮して通勤時間帯を変えたり、勤務時間の短縮や休憩時間の延長をしたいとき、母性健康管理指導事項連絡カード(通称:母健連絡カード※2)を、医師・助産師さんに記入していただくと会社とのやりとりがスムーズになりますよ。
エピソードで『うちにはそういう制度とかない』という声もありましたが、就業規則に書いていなくても、法律が優先されるため、使えますので安心してください」(大畑さん)
2025年にも育児介護休業法が改正されました。そのポイントについて大畑さんに伺いました。
また、職場復帰の際にはまわりに迷惑をかけるのではないか、やりがいのある仕事から外されてしまう、という葛藤を抱くママも多いようです。働き方改革コンサルタントとして、多くの企業を見てきた大畑さんからのアドバイスです。
「2025年の育児・介護休業法の改正で、子の看護等休暇が『感染症に伴う学級閉鎖』や『入園(入学)式、卒園式』でも使えるようになり、所定外労働の制限(残業免除)も子どもが3歳未満までだったのが、小学校就学前になるまでと長い期間にわたり適用されるようになりました。
時短勤務を選択したことで賃金が減少する人の経済的負担を軽くするため、短時間勤務中の賃金の10%相当額が支給される制度ができました。
また、出生後休業支援給付金が創設され、育児休業中の給付金は手取り10割相当(最大28日間。夫婦ともに育児休業を14日取得など条件あり※3)になり、「夫が育休をとったほうが得」という時代になってきました。
今、育児と仕事の両立に追い風が吹いています。
だからこそ復帰後をイメージして、自分が職場に貢献できる武器は何かを振り返り、磨いておくことが大切です」(大畑さん)
※3 働くママのお悩み「育休中の減収」が解消される⁉と、噂の「出生後休業支援給付金」は、実はママのみでは給付されない…専門家に聞く
「『できないこと』ではなく『できること』を開示することで、役割分担がスムーズに」と、大畑さん
「多くの職場では、復帰後に配慮してもらえる場面に遭遇するでしょう。時にそれが『時短勤務なので出張はすべて避けてあげよう』『重要案件から外してあげよう』とやりがいまで失ってしまうケースがあります。
私は多くの企業を見てきましたが、育児中も、介護中も、独身の方も、さまざまな事情がある中で助け合い業務が回っている職場は、『働けない時間』『受け取れない業務』だけでなく、『働ける曜日』『積極的に受け取れる業務』についても伝え合っています。
『基本は園のお迎えがあるけど、水曜日はパートナーが変わってくれるので残業は大丈夫』『提案資料の作成は得意だから、他の人の分まで作れます』など、できることも積極的に開示することにより、気遣いを減らし、お互いに頼れる業務分担が実現していきます。
もちろん、無理は禁物ですので、家事代行サービス、ベビーシッターサービス、(もしお願いできるなら)ご両親など、自分一人で抱えすぎない体制を整えておきましょう。
私は、とくに第1子のときに全部自分でやろう・家庭内でなんとかしようという意識が強く、心身ともに大変だった時期があります。
実際には外部にお願いすることは少ないかもしれません。でも、『いざというときに頼れる先がこんなにあるんだ』と思えると、日々の気持ちが楽になりますよ。
100家庭あれば100通りの幸せの形があります。ぜひこの記事を材料にして、ご家庭で話し合われてみてください」(大畑さん)
大畑愼護

PROFILE)
厚生労働省「共育(ともいく)プロジェクト」推進委員。前職では全国を駆け巡る激務のなか、個人及びチームの業務内容などを見直し・改善して残業時間半減を実現。その経験をいかして、現在は(株)ワーク・ライフバランス 働き方改革コンサルタントとして、多くの企業で講演・研修、コンサルタントを行っています。東京都「育業の普及促進に向けた啓発事業」選考委員、和歌山県特別職非常勤職員(子育て社員応援アドバイザー)で、メディアにも多数出演。3児の父で、第3子誕生の際には1年間の育休をとって一家5人で南国フィジーへ育休移住を決行しました。プライベートではトライアスロンに挑戦するなど、既成概念にとらわれず仕事・家庭・自分の時間の充実を提案する型破りパパです。
(取材・文/和兎 尊美、たまひよONLINE編集部)
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は2026年3月の情報で、現在と異なる場合があります。
「家庭を顧みない仕事人間でした」その僕が南国フィジーへ7ヶ月間、育休移住をしたお話。きっかけはふと目に入った妻の TODO リスト【第1回】
