夫を家から追い出した美恵子だが、こだわりの注文住宅や子どもの教育環境を捨てきれず葛藤する。「なぜ被害者の私たちが逃げなきゃいけないの?」と憤る彼女は、親友の助言を受け、義両親を巻き込む決意を固める。
「出て行って」夫に告げた最終勧告
「悪いけど、しばらく出て行ってくれない?」
翌朝、仕事に行く準備をしていた庸介に、私は静かに告げました。 庸介はネクタイを締める手を止め、信じられないという顔でこちらを見ました。
「は? 出て行けって……どこにだよ。ここは俺の家でもあるんだぞ」
「誓約書、覚えてるよね? あなたが約束を破ったら、離婚。そして保有株の現金化。今すぐこの家からいなくなってほしいの。あなたの顔を見ると、吐き気がするから」
「……裏切ったのは悪かったよ。でもさ、追い出すなんて極端だろ。子どもたちのことも考えろよ! カンナがパパがいないって泣いたらかわいそうだ!」
「子どもを盾にしないで。子どもを裏切ったのは、誕生日にギャンブルに狂ってたあなたでしょ」
庸介は舌打ちをして、玄関のドアを乱暴に閉めて出て行きました。
わが子の生活は変えたくない…
一人残されたリビングで、私は立ち尽くしました。
正規フルタイムで復帰したばかり。実家も車で30分の距離にあり、協力は得られる。経済的には、どうにかなるはずです。 でも、問題は「生活」そのものでした。
この家は、2年前にこだわって建てた注文住宅。 カンナは今年から保育園に通い始め、ようやくお友達ができて、毎日楽しそうに登園しています。
「ママ、今日ね、サキちゃんと一緒に砂場でお城作ったの!」
そう話す娘のキラキラした目を思い出すと、引っ越しという選択肢が重くのしかかります。校区が変われば、仲良くなったお友達ともお別れです。 なぜ、裏切ったのが夫なのに、私と子どもたちが苦労して家を出て行かなければならないの?

