「証明型」の人、「習得型」の人
失敗をしたくない人と、失敗をいとわずチャレンジし、そこから学べる人がいるわけですが、社会心理学者のハイディ・グラント・ハルバーソンは、このあたりのことを「証明型」と「習得型」という概念を用いて、「能力を示すためによい成果をあげること」を重視する「証明型」の人と、「成長や進歩、技能の習得」を重視する「習得型」の人がいると述べています。著書『やってのける(原題:SUCCEED)』(大和書房)の中で以下のように説明しています。
学生の多くは、試験で良い点数をとることばかり考えがちかもしれない。しかし、中には学ぶことそのものに意識を向けている学生もいる。「習得型」の人は成長を望む。技能や能力を高め、よりよい存在になろうとするのだ。そのような人は、「自己承認」ではなく「自己成長」という点を重視している。優れた存在であること(Be Good)を証明しようとするのではなく、優れた存在になること(Get Better)を重視するのだ。
「習得型」の人は、能力不足による低調な結果や直面するトラブルをネガティブには捉えない。問題にぶつかっても、とくに意気消沈したり、無力感を味わったりすることなく、壁を乗り越えるための行動を取ろうとする。ビジネスにおいて、うまくいかなければ、経験のある同僚にアドバイスを求める。後輩からでさえ何かを学ぼうとする。
一方、「証明型」の人は、自分に能力がないことを相手に知られたくないために、助けを求めることを躊躇しがちである。助けを求めることを自らの能力のなさを周りに示すことだと見なす傾向がある。「習得型」の人が人の力を借りることの価値を知っているのと対照的だ。
ある実験の結果、「習得型」の人は、成功への期待が下がった状況にあっても、モチベーションを失わずに挑戦を続けようとする傾向があったということが報告されている。成功の見込みが薄くなっても、学びや成長は続けられると考えるため、モチベーションを維持しやすくなる。成功が目的ではなく、その過程での成長が目的だからだ。「習得型」の人は、プロセスに興味を持ち、行動そのものに大きな関心と楽しみを見出す傾向がある。
そして、ハイパフォーマーの人たちは明らかに「習得型」の性質を持っているのです。なぜなら、成果に目が向いているからです。成果をあげるうえで必要と思えば、誰にでも躊躇なく教えを乞うのです。一つの典型例としては、畑違いの部署へ管理職として配置転換となったようなケースが挙げられます。ハイパフォーマーは、部下にも躊躇なく教えを乞い、早期にキャッチアップするのです。多くの人がなかなかキャッチアップできずに、メンバーと距離ができてしまうのとは大きな違いです。

