日本とフランスの社会保障協定
以下では、フランスの社会保障協定について理解するために、その概要を解説します。
また、フランスの年金の加入期間について詳しく解説し、年金の受取方法についても説明します。
両国で年金加入期間を合算することが可能
日本とフランスは社会保障協定を結んでいます。
両国間での勤務経験を持つ個人に対して、それぞれの国の社会保障制度の恩恵を適切に受けられるようにすることが、この協定の主な目的です以下はその概要です。
・二重加入の回避:
協定により、日本とフランスの両国で同時に社会保険料を支払うことのないようにするためのルールが設定されています。
これにより、たとえば日本の企業の出向社員がフランスで働いている間も、日本の社会保険にのみ加入し続けることができます。
・年金の給付:
協定により、日本とフランスでの勤務経験を合算して、それぞれの国の年金給付資格を満たすかどうかを判断することができます。
例えば、フランスの年金を受け取るために必要な勤務年数が足りない場合でも、日本での勤務年数を合算することで、資格要件を満たすことができる場合があります。
これにより、「せっかく保険料を払っていたのに掛け捨てになってしまう」という不利益を防ぎ、国境を越えて働いた期間を無駄なく年金に反映させることができます。
・日本とフランス両国の年金が支給:
勤続年数などの資格を満たすと、それぞれの国での勤務期間に応じて、日本の年金とフランスの年金を両方受け取ることができます。
社会保障協定により、国際的な移動の障壁が低減し、個人が各国の社会保障制度の恩恵を十分に享受できるようになっています。
フランスの年金加入期間
フランスの法律によれば、一般的な老齢年金や遺族年金の要件には特定の最低加入期間は定められていません。
満額の年金を受け取るために必要な加入期間は43年ですが、その期間フランスの年金制度下での加入があれば、日本での加入期間を合算しなくてもフランスの年金受給資格が得られます。
フランスの制度だけで年金受給の条件を満たせない場合は、社会保障協定の下で、日本の加入期間と合わせて考慮されます。
フランスの年金の受取方法
フランスでは月1回年金が支払われます。
日本で暮らしている人へは、SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)機能付きの日本の銀行アカウントに、日本円またはユーロで振込が行われます。
フランスの年金の受取には生存証明(受給者が健在であることを確認するための書類)が求められます。
生存証明は、かつては在日フランス大使館(東京)で手続きを行うことができましたが、現在は手続き業務は完全に廃止されています。
現在は、日本に住む受給者はお近くの市区町村役場で取得した「住民票」を公式の証明書(生存証明の添付書類)として使用します。
この際、住民票の翻訳は不要です。
受給者は、フランスの年金局から届いた生存証明書の用紙に必要事項を記入・署名し、日本の住民票を添えて、フランスの総合年金管理機関である「Info Retraite」へ直接郵送するか、または専用のオンラインポータルサイト(インターネット上の手続きサイト)からデータをアップロードし、送信する必要があります。
生存証明の提出が遅れると、フランスからの年金支給が一時的に止められてしまうという不利益を被るリスクがあるので、気をつけましょう。
詳細については、在日フランス大使館の公式サイト「年金給付のための生存証明書」のページを参照してください。
まとめ
フランスと日本の年金制度はそれぞれ異なり、複雑な制度となっています。
フランスの年金は、最低加入期間はなく、満額受給には43年間の加入期間が必要です。
納付した保険料と労働年数に基づき、およそ62歳から受給開始となります。
ただし、2023年の改革による受給年齢の引き上げが2028年1月まで一時停止されているので、今後の法改正の動きには注意が必要です。
年金制度は3つの層(基本年金・職業別補完年金・追加年金制度)で成り立っており、満額の年金受給の条件をクリアすれば、受給額は過去最も収入の良い25年間の賃金の50%で計算されます。
一方日本の加入期間は40年間で、基礎年金や厚生年金などの制度があり(旧来の共済年金は厚生年金に一元化)、受給額は制度や期間に応じて変動します。
日本の年金は、受給開始年齢が原則65歳です。
年金の財源としては、フランスは雇用主の拠出額が大きく、日本は雇用者と雇用主が同額を拠出するという違いがあります。
双方の国々が、社会保障政策や経済状況に合わせて年金制度を変更しているので、最新の情報確認も必要です。
フランス・日本の両国での勤務経験・年金加入実績がある方は、それぞれの年金や社会保障協定といった制度を理解し、年金の掛け捨てが発生しないようにしてください。
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