注意が必要な幻覚と受診のサイン

どのような幻覚が見えたら受診すべきですか?
初めて出た幻覚は、一度は受診して原因を確かめたほうがよい症状です。特に、急に始まった場合、発熱や脱水がある場合、場所や時間がわからない場合、会話が成り立ちにくい場合、夜に急に興奮する場合は、せん妄を含めた身体の病気を考えます。食事や水分が取れない、自宅での安全が保てないときは、早めの受診が必要です。幻覚の内容に強い恐怖があり、本人が落ち着けないときも受診を急ぎます。急に歩き回る、外へ出たがる、転倒しそうになるといった変化があるときも、早めに医療機関へつなげます。
参照:『せん妄』(健康長寿ネット)
周囲が気付ける危険な幻覚のサインを教えてください
周囲から見てわかりやすい変化には、ひとり言が増える、何もない所を目で追う、急におびえる、会話の筋が通りにくい、家族の名前や今いる場所を言い間違う、夜に眠らず興奮するなどがあります。点滴やチューブを抜こうとする、自分や周囲を傷つけそうな行動がある場合は、救急受診を考える場面です。いつもより反応が鈍い、急に歩き回る、帰宅しようとして外へ出たがるといった変化がみられることもあります。短時間で様子が大きく変わるときは、夜間でも受診を急いだほうがよい場面があります。
幻覚が見えるときは何科を受診すべきですか?
受診先は症状の出方で考えると選びやすくなります。急に始まり、発熱、脱水、意識のゆらぎ、受け答えの乱れがあるときは、まず内科や救急外来が候補です。物忘れ、注意力の波、具体的な幻視が続く高齢の方では、脳神経内科やもの忘れ外来が相談先になります。幻聴や妄想が続き、こころの症状が中心なら精神科が適しています。これは、認知症診療では脳神経内科と精神科が連携し、統合失調症では専門機関への早期相談がすすめられていることを踏まえた受診の目安です。
受診時に医師に伝えた方がよいことを教えてください
いつから始まったか、見えるのか聞こえるのか、どんな内容か、昼と夜のどちらで強いかを伝えます。あわせて、発熱、脱水、睡眠不足、飲酒量の変化、最近始まった薬や増減した薬、持病、物忘れの有無も重要です。本人が話しにくいときは、家族が見た変化を時系列に沿って書き留めて持参すると、診断に役立ちます。
編集部まとめ

幻覚は、統合失調症のような精神疾患だけでなく、レビー小体型認知症、感染症や脱水に伴うせん妄、薬やアルコールの影響でも起こります。見え方だけで原因は決められません。急に始まった、場所や時間がわからない、会話が乱れる、夜に強く悪化する場合は、身体の病気が隠れていることがあります。初めての幻覚や、生活の安全に影響する幻覚は、早めに医療機関へつなげることが大切です。
特に高齢の方では、発熱や強い痛みが目立たなくても、幻覚や落ち着かなさが先に出ることがあります。本人だけで判断することが難しい場合もあるため、家族や周囲の方がいつもとの違いに目を向け、受診につなげることが重要です。
参考文献
『統合失調症』(こころの情報サイト)
『薬剤性せん妄 患者向けマニュアル』(PMDA)
『認知症・せん妄ケアマニュアル 第2版』(国立長寿医療研究センター)
『レビー小体型認知症(DLB)とアルツハイマー型認知症(AD)の識別の仕方はどのようなものがあるでしょうか?』(国立長寿医療研究センター)
『せん妄』(健康長寿ネット)
『せん妄(せんもう)とは』(済生会)
『依存症(Dependence)・ICD-10で診断ガイドラインが示されている』(厚生労働省)
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