ICLは、角膜を削らずに屈折異常を矯正できる術式として注目されています。けれども、すべての施設で同じ結果や安全性が得られるとは限らないため、「どこで受けるか」が重要になります。そこで、ICL治療の基本やクリニック選びのポイントなどについて、きくな湯田眼科の湯田健太郎先生に聞きました。
※2025年10月取材

監修医師:
湯田 健太郎(きくな湯田眼科)
浜松医科大学医学部医学科卒業、東京大学大学院医学系研究科修了。その後、横浜南共済病院、横浜市立大学附属病院、ハーバード大学医学部などで経験を積む。2021年、神奈川県横浜市に位置する「きくな湯田眼科」の副院長に就任、後に院長へ。医学博士。日本眼科学会専門医。日本神経眼科学会、日本眼科手術学会の各会員。横浜市立大学附属病院眼科客員講師、日本大学医学部附属板橋病院眼科兼任講師。
ICLのメリットは? 医師が解説
編集部
ICLとは何ですか?
湯田先生
ICLとは、目の中に細いレンズを挿入して近視・乱視・遠視を矯正する方法です。レーシックなどの、角膜を削るレーザー法と異なり、角膜組織を温存できる点が大きな特徴です。挿入後、何らかの不具合があった場合は、レンズを取り外したり、交換したりすることもできます。
編集部
ICLは誰でも受けられるのですか?
湯田先生
いいえ、すべての人が適応になるわけではありません。まずICL手術は、目の成長が完了するとされている「18歳以上」であることが適応条件です。また、水晶体と角膜の間に十分なスペース(およそ2.8mm以上)があるかどうかや、視力が手術に適した基準を満たしているかどうかも確認します。さらに、緑内障などの目の病気がある場合には、手術を受けられないこともあります。
編集部
基準とはどのようなものなのでしょうか?
湯田先生
屈折度数についての基準としては、近視の場合はマイナス3D以上であることが望ましいとされています。強度の近視や乱視にも対応できるのがICLの特長ですが、安全に手術をおこなうためには、こうした条件を丁寧に確認することが欠かせません。
編集部
ICLにはどんなメリットがありますか?
湯田先生
ICLは角膜を削らないため、レーシックのようにドライアイを悪化させるリスクが少ない点や、レーシックよりも「手術から、実際に見えるようになるまでの期間が短い」「視力の戻りが少ない」「精度の高い矯正が期待できる」などが大きな特徴です。また、可逆性があるため、万が一トラブルが起きてもレンズを取り外すことができます。さらに、高度近視や角膜が薄い人でも適応できる場合が多く、目の表面にかかる負担が少ないのも利点といえます。手術自体は日帰りで受けられるため、仕事や学業で忙しい人も安心して選べると思います。
ICL手術後の生活について
編集部
ICL手術を受けた後は、すぐに生活に戻れますか?
湯田先生
そうですね。激しい運動や水泳、目に圧力がかかる行為は制限されることがありますが、基本的には普段どおり生活してもらえます。ただし、術後は数日〜数週間、時間ごとの点眼や、外出時に目を保護するためのゴーグルの装着が必要です。
編集部
ICL手術後に起こり得る合併症なども教えてください。
湯田先生
合併症として、夜間に光の輪が見えるハロー・グレア現象や、一時的な眼圧上昇などがあります。また、極めて稀ではありますが、眼内炎や白内障、水疱性角膜症などの重篤な合併症が起こるリスクもゼロではありません。また、頻度としては低いものの、眼圧上昇が続くと、緑内障になる可能性があるため、定期的な眼圧検査が必要となります。また、ICL手術後は、一時的に目が充血することがありますが、通常数日から1週間程度で改善することがほとんどです。
編集部
では、長期的な注意点などはありますか?
湯田先生
長期的にみると、老眼になりやすいリスクがあります。手術の際に若干近視を残すようにすることで、こうした事態を避けるようにしています。
編集部
ほかに、ICL手術について知っておいたほうがよいことはありますか?
湯田先生
ICL手術は健康保険の対象外となるため、自費で受ける自由診療になります。費用は使用するレンズの種類や手術を受ける医療機関によって差があります。金額が高くなる大きな理由の一つは、レンズを作るために高度な技術と特別な素材が使われていることです。さらに、手術自体も精密で専門性が高く、医師やスタッフの技術料、手術設備の維持費なども加わるため、費用が比較的高額になるのです。費用にはきちんと理由がありますので、「安いから」といった理由だけでクリニックを選ばないことも大切です。

