周子は持ち物だけにとどまらず、夫が自作した世界に一つだけの家具まで、再現する。髪型から育児法、夫のファッションまでマネされ、愛美は自分の個性が消えていくような恐怖を抱き…。
違和感は確信に変わった
「……これ、見てよ。義春」
私はスマホの画面を夫に差し出した。 そこには、周子ちゃんのブログにアップされた、彼女の家のリビング写真が写っていた。
「えっ…?これ、俺が作ったテレビボードじゃないの?」
義春が絶句するのもムリはない。画面の中にあるのは、DIYが趣味の義春が、数か月かけて設計し、海斗が角にぶつからないよう、丸みを持たせた、世界に一つだけのテレビボード。
それとまったく同じデザイン…同じ木材の質感を再現した家具が、周子ちゃんの家にも鎮座していたのだ。
「この前…周子ちゃんがあそびに来た時、やけに色んな角度からテレビボードの写メを撮ってたのよね…。そういえば、寸法も測ったりしてた。わざわざ、ご主人につくらせたのかな」
「いやー…マネしてくれるのは光栄だけどさ。設計のこだわりとかデザインまで、全部同じっていうのは…ちょっと気味がわるいな」
夫もようやく、私の抱いていた違和感に同意してくれた。
まるで私の"コピー"のよう
周子ちゃんの「マネ」は、もはや持ち物だけにとどまらなくなっていた。
私が前髪をパッツンに切れば、次に会う時には、彼女も同じ髪型。
「最近、この化粧水に変えたら肌の調子が良くて」と言えば、翌週には彼女の洗面台に同じボトルがならぶ。 子どものトイレトレーニングの進め方、使っている補助便座…果ては、夫の服の系統まで。
「愛美ちゃん!最近トイトレどう?うちは愛美ちゃんが言ってたシール作戦を始めたら、みくもやる気になっちゃって!」
「……そう。お役に立ててよかったわ」
「本当、愛美ちゃんの選ぶものってまちがいがないから、助かっちゃう」
悪気も悪意もなく言う彼女は、私をほめているつもりなのかもしれない。

