シェーグレン症候群(シェーグレン病)は、目やお口の乾燥を主な症状とする自己免疫疾患です。一見よくある不調のように感じるかもしれませんが、肺や腎臓、関節、神経、皮膚など全身に影響を及ぼすこともあるため、適切な診療科での評価が重要です。とはいえ、どの科を受診すればよいのか、診断までの流れがどうなっているのかはわかりにくいかもしれません。この記事では、シェーグレン症候群が疑われたときの受診先と、診断までの流れについて解説します。

監修医師:
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)
【資格】
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医・評議員
日本リウマチ学会 登録ソノグラファー
日本リウマチ財団 登録医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医(内科)
日本臨床免疫学会 免疫療法認定医
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
日本エイズ学会 認定医
日本温泉気候物理医学会 温泉療法医・温泉療法専門医
日本骨粗鬆症学会 認定医
日本母性内科学会 母性内科診療プロバイダー
身体障害者福祉法第15条指定医(肢体不自由、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害)
インフェクションコントロールドクター
博士(医学)
診療科目
一般内科、リウマチ・膠原病内科、アレルギー科、感染症科
シェーグレン症候群が疑われるときの診療科

シェーグレン症候群は何科で診てもらえますか?
シェーグレン症候群は主にリウマチ科や膠原病内科で診察します。初期には目やお口の乾燥から、眼科や歯科口腔外科を受診する患者さんもいます。しかし、シェーグレン症候群は全身性の自己免疫疾患なので、診断や全身の評価が必要です。そのため、シェーグレン症候群が疑われた場合は、これらの診療科からリウマチ科や膠原病内科へ紹介されることがあります。全身の合併症やほかの自己免疫疾患の合併も多く、診療の過程で症状に応じて複数の診療科が関わることもあり、必要に応じて連携しながら対応します。参照:シェーグレン症候群(難病情報センター)
リウマチ科と膠原病内科の違いを教えてください
リウマチ科はリウマチ性疾患を診ている医師が広く標榜しています。医師のバックグラウンドは内科だったり整形外科だったりします。一方、膠原病内科の医師は内科的なバックグラウンドがあることがほとんどです。
シェーグレン症候群は膠原病であり、ときに内臓の障害をきたすため、内科的な管理が必要となる疾患です。シェーグレン症候群を心配してリウマチ科への受診を考える際は、担当医が膠原病の診療をしているかを確認しておくとよいでしょう。
参照:リウマチ専門医とは(日本リウマチ学会)
内科ではシェーグレン症候群の検査や診断はできませんか?
基本的には膠原病内科が中心となって検査や診断を進めます。しかし、診断に必要な一部の検査は専門性が高く、内科のみでは難しいケースがあります。例えば、涙液の分泌量や目の表面の角膜の傷があるかを調べる検査は主に眼科で行います。免疫の細胞が唾液腺へ集まって腺構造を破壊している様子をみるための口唇生検は歯科口腔外科で行うことが多い傾向にあります。
専門的な検査はシェーグレン症候群の方全員に行うとは限りません。症状や状況によっては内科のみで検査や診断が完結することもあります。まずは内科の医師と他科受診の必要性についてよく相談しましょう。
参照:シェーグレン症候群(難病情報センター)
シェーグレン症候群の初診から診断までの流れ

初めて病院に行ったときに医師に伝えた方がよいことを教えてください
初めて受診する際には、目やお口の乾燥に関して気になる症状を伝えてください。具体的にどのように困っているのかできるだけ詳しく伝えるとよいでしょう。例えば、目であればごろごろする、まぶしい、涙が出にくいといった症状が乾燥を示すものです。お口であれば、飲み物がないと食べづらい、お口が乾いて喋りにくい、むし歯が増えたなど、その程度や経過を説明しましょう。
また、鼻の乾燥や皮膚症状、関節痛、疲労感、発熱など全身の症状も併せて伝えることが診断につながります。関節リウマチや甲状腺疾患などほかの膠原病や自己免疫疾患にかかったことがある場合はそのことも伝えましょう。家族に膠原病の方がいるかや、検査異常の有無も重要な情報です。医師からも必要な情報についての問診はありますが、気になることはきちんと伝えることが大切です。
参照:シェーグレン症候群(難病情報センター)
シェーグレン症候群が疑われた場合、どのような検査が行われますか?
シェーグレン症候群が疑われる場合、以下の3つの観点から複数の検査を組み合わせて行います。免疫の異常
目やお口の乾燥
腺の組織の検査
免疫の異常を知るための検査としては、血液検査で自己抗体の有無を調べます。特に抗SS-A抗体や抗SS-B抗体は診断に有用な検査です。また、免疫の異常に伴う血液データの変化(白血球などの血液細胞の減少や高ガンマグロブリン血症など)も参考になります。
乾燥については、涙の分泌量を調べたり角結膜の障害を確認したりする眼科検査、ガムやガーゼを噛んで唾液の分泌量を測る検査などがあります。唾液腺の機能や状態を調べるために、シンチグラフィーや造影検査といった画像検査を行うこともあります。
組織の検査は、唇にある小さな唾液腺や涙腺などの組織を外科的に採取して、顕微鏡で観察するものです。シェーグレン症候群は、リンパ球と呼ばれる免疫細胞が腺組織へ集まって壊していくことで腺の機能が低下していく疾患です。組織を直接的に調べる生検は診断への強力な手掛かりになる一方で、患者さんへの負担が大きいため、検査の必要性を考えて行うべきかどうか判断します。
これらに加えて、シェーグレン症候群による臓器障害がないか調べるための血液検査や画像検査、ほかの膠原病や自己免疫疾患がないかを調べる検査も、必要に応じて追加されます。
参照:
シェーグレン病(日本リウマチ学会)
シェーグレン症候群(難病情報センター)
シェーグレン症候群の検査から診断までの流れを教えてください
シェーグレン症候群は症状だけで確定できる病気ではないため、複数の検査結果を組み合わせて診断されます。まず、目やお口の乾燥症状を中心に、関節痛や疲労感などの全身症状について詳しく問診を行います。次に、どのような検査を行うかを考えます。多くの場合、免疫の異常を調べるための自己抗体の検査は早い段階で行われます。特に、抗SS-A抗体や抗SS-B抗体は診断に結びつく重要な検査です。乾燥症状はほかの原因でも起こりうるため、免疫異常の有無を確認することは診断をするにあたって重要な所見です。また、血液検査でわかるため、患者さんの身体への負担が少ないのも利点です。
乾燥の程度を調べる検査や組織の生検などは、患者さんの症状や背景、希望などを踏まえて選択されます。涙や唾液の分泌量を調べる検査、眼科での角膜の評価、唾液腺の機能をみる検査などが行われます。組織生検は有用な検査ですが、侵襲を伴うため必要性を考えて実施されます。
一つの検査だけで診断が決まるのではなく、複数の検査結果を総合的に評価します。日本では多くの場合、厚生労働省の基準が参考にされます。ただし、これらはあくまで診断の目安であり、実際には患者さんの症状や経過も含めて判断されます。
参照:シェーグレン症候群(難病情報センター)

