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ファンタジックな『蛙の王さま』の世界をひも解く—挿絵から見えてくる人間と動物の関係

人間を助ける動物たち—『蛙の王さま』からたどる古い習わし

06_Otto_Ubbelohde_-_Der_Froschkönig_oder_der_eiserne_Heinrich19世紀末〜20世紀に活躍した画家・イラストレーターの、オットー・ウベローデ(Otto Ubbelohde, 1867〜1922)による『蛙の王さま』の挿絵。, Public domain, via Wikimedia Commons.

ヨーロッパの文化をさかのぼると、王子が自ら蛙に変身したのではないかと想像させる古い習わしにたどり着きます。

ヨーロッパでは、中世まで狼男の風習が残っており、農耕儀礼として行われていたそうです。民俗学の研究によれば、ある農民が狼に変身し、冬の悪霊と戦って打ち破ることで、豊作を招き入れていたといいます。

つまり、人間が動物に変身して、自然が持つ魔術的な力を得ていたと考えられるのです。

当時の人々の信仰は、童話にも表れています。たとえば、『シンデレラ』に登場する小鳥は、ヒロインの願いを聞き届け、彼女が望んだものを何でも恵んでくれます。

『蛙の王さま』の王子も、姫が泉に落とした金のまりを取り戻すため、彼女に力を貸します。
どちらも、動物に対する信頼や畏怖の念が、人間を助けてくれる存在として結びついたとうかがえるストーリーです。

このように考察すると、主人公の王子は、動物の力を得て、自ら姿を変えた存在として読み解くこともできます。『蛙の王さま』は、人間と動物がより近しい関係にあった時代の世界観を今に伝える物語だといえるでしょう。

人々と動物の関係性を見つめ直す童話

この記事では、アン・アンダーソン、クララ・ミラー・バード、ジェラルドゥス・ヨハネス・ボスの挿絵をご紹介し、姫と蛙の対比に注目しました。それぞれの画家によって、主役のふたりの関係の見え方が異なり、同じ童話でもさまざまな解釈があることを教えてくれます。

また、ストーリーの原形をたどると、人間と動物のつながりが歴史とともに変わっていったことが分かります。

『蛙の王さま』は、ロマンティックなおとぎ話でありつつも、人々と動物が近しい存在だった時代を想像できる作品です。

ぜひ童話を読み直して、ヨーロッパに息づいていた古い文化や世界観を感じてみてくださいね。

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《参考文献》
小澤俊夫監訳『語るためのグリム童話①ヘンゼルとグレーテル』小峰書店、2007年
高橋義人『グリム童話の世界—ヨーロッパ文化の深層へ』岩波書店、2010年
森義信『メルヘンの深層』講談社、1995年
川端強編、矢崎源九郎、植田敏郎、乾侑美子訳『グリムの昔話(3)森の道編』童話館出版、2003年

《参考サイト》
・Anne Anderson(POOK PRESS)
https://www.pookpress.co.uk/project/anne-anderson-biography/
・NORMAN ROCKWELL MUSEUM-Illustration History Clara Miller Burd
https://www.illustrationhistory.org/artists/clara-miller-burd
・Gerardus Johannes Bos(19th century gallery)
https://www.simonis-buunk.com/artist/gerardus-johannes-bos/artworks-for-sale/2962/
・Gerardus Johannes Bos(Gallerease)
https://www.gallerease.com/en/artists/gerardus-johannes-bos__02697a288161
・アール・ヌーヴォーは、どこから来てどこへ行く?めぐりめぐる工芸とデザイン(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/prmagazine/rensai/diary/diary_090.html

配信元: イロハニアート

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