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「なぜかやみつきになる謎味の飲料」、成分の正体は? 飲み過ぎによる健康リスクを医師が解説

「なぜかやみつきになる謎味の飲料」、成分の正体は? 飲み過ぎによる健康リスクを医師が解説

最近、SNSを中心に「やみつきになる」「何味かわからないけどおいしい」と話題の高糖質・強刺激の炭酸飲料が注目を集めています。一方で、1本(600mL)あたり糖質約84g(=角砂糖約25個分)を含む商品もあり、「体への影響は大丈夫なのか」と不安を感じる人もいるかもしれません。こうした“クセになる飲料”には、どのような成分や特徴があるのでしょうか。今回は、高糖質・強刺激飲料やカフェイン飲料との向き合い方について、マウントサイナイ医科大学アシスタントプロフェッサーで米国老年医学専門医の山田悠史先生に詳しく解説してもらいました。

山田 悠史

監修医師:
山田 悠史(医師)

マウントサイナイ医科大学 老年医学・緩和医療科 アシスタントプロフェッサー。2008年慶應義塾大学医学部卒。東京医科歯科大学医学部附属病院(現・東京科学大学病院)にて初期研修後、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学ベスイスラエル病院内科、同大学病院老年医学科フェローを経て現職。2021年、日本における新型コロナウイルスワクチンの正確な情報発信と医療現場の負担軽減を目的に「コロワくんサポーターズ」を結成し、LINEチャットボット「コロワくんの相談室」をリリース。同年、医療従事者向け医療英語学習プログラム「Medical English Hub(めどはぶ)」を設立し、代表を務める。フジテレビ系列「FNN Live News α」公式コメンテーター、Podcast「山田悠史の医者のいらないラジオ」パーソナリティ。 著書に『最新科学が覆す 体にいいのはどっち?』(サンクチュアリ出版)、『認知症になる人 ならない人 全米トップ病院の医師が教える真実』(講談社)などがある。日本総合内科専門医、米国内科専門医、米国老年医学専門医。

“クセになる飲料”の正体は何? 成分について医師が解説

“クセになる飲料”の正体は何? 成分について医師が解説

編集部

高糖質・強刺激飲料の甘味料として「果糖ぶどう糖液糖」が多く使われています。この成分を多く含む飲み物を毎日飲み続けると、医学的にはどのような病気のリスクが上がるとされていますか?

山田先生

果糖ぶどう糖液糖を毎日摂取することは、いわば「コツコツ将来の病気のリスクを積み重ねる作業」をしているようなものです。まず懸念されるのは2型糖尿病です。液体状の糖分は吸収が極めて速く、急激な血糖値の上昇を繰り返すことでその発症リスクを高めます。
また、果糖は主に肝臓で代謝されます。過剰に摂取した果糖は速やかに中性脂肪へと変わり、脂肪肝の原因になります。お酒を飲まない人でも脂肪肝は肝硬変や肝がんのリスクを高めます。さらに、果糖が体内で分解される過程で、痛風や腎障害の原因となる尿酸が作られるため毎日の果糖ぶどう糖液糖の摂取は動脈硬化や痛風のリスク上昇にもなります。つまり単なるカロリー過多の問題ではなく、「体の機能を内側からじわじわと蝕んでいく」点が、この成分を常用する最大の懸念点です。

編集部

最近話題の高糖質・強刺激飲料には、「ガラナエキス」が含まれている商品もあります。カフェインとどのような関係があるのでしょうか? コーヒーやエナジードリンクとの違いも教えてください。

山田先生

ガラナの種子には天然のカフェインが豊富に含まれており、ガラナの種子から抽出された成分をガラナエキスといいます。最大の特徴は、コーヒーなどのカフェインと比べて吸収が穏やかで、効果が持続しやすい点です。一般的なエナジードリンクには合成カフェインが使われることが多く、急激な覚醒感が起きやすいのが特徴です。一方、ガラナは緩やかに作用するため、効果が長持ちします。ただし、夕方~夜間に摂取すると睡眠の質を下げやすいため、飲むタイミングには注意が必要です。

編集部

高糖質・強刺激飲料には、「やみつきになる」と感じる人も少なくありません。味や成分の観点から、医師の見解として、どのように「やみつき」を生み出しているのか教えてください。

山田先生

やみつきの正体は、おそらく多量の糖質とガラナ由来のカフェインによる相乗効果ではないでしょうか。
1本約84g=角砂糖25個分もの糖質を含む飲料は摂取直後に血糖値を急上昇させ、脳の報酬系を刺激します。これにより多幸感のようなものが得られ、脳が再びその快楽を求める「糖質依存」を引き起こします。ここにガラナの緩やかな覚醒作用が加わることで、高揚感が持続しやすくなるのだと思います。
さらに、強炭酸の刺激や甘み、酸味の絶妙なバランスが感覚的な満足度を高め、これらが複合的に作用することで、感覚的に「また飲みたい」と感じさせ、習慣化しやすくなる可能性があります。
こうした特徴はほかの超加工食品にも共通したことではありますが、成分と飲みごたえの両面から、人が繰り返し飲みたくなるような嗜好性を意識した設計である印象を受けます。

編集部

高糖質・強刺激飲料には「体に悪いとわかっていても飲みたくなる」というコンセプトで売り出されているものもあります。医師の立場から、このような飲料の流行が若い世代の健康に与える影響について、どのように考えますか?

山田先生

「体に悪いとわかっていても……」というコンセプトがエンターテインメントとして消費されることには、強い懸念があります。その「悪さ」はすぐには現れず、飲んでいる本人に実感もないので、当事者意識を作らず流行させることができます。
しかし、その「悪さ」は残念ながら皆が忘れた頃にやってきます。若い世代にとって、このような飲料の常用は、単なる一時の楽しみではなく、将来の健康を前借りしているような状態です。特に、若いうちから脳がこのような飲料に慣れてしまうと、味覚や報酬系の閾値が上がり、より刺激の強いものを求める負のループに陥る可能性があります。それが、数十年後の血管の健康や認知機能の衰えに直結します。不健康を「背徳感」という魅力にすり替えるような流行は、病気の低年齢化を加速させる懸念があり、見過ごせません。ただ、それを当事者たちはわかりようがないのが辛いところです。

1本飲んだら体に何が起こる? 糖質・カフェイン過剰摂取の影響

1本飲んだら体に何が起こる? 糖質・カフェイン過剰摂取の影響

編集部

600mLのペットボトル1本に糖質が約84g含まれている高糖質・強刺激飲料は、WHO(世界保健機関)が推奨する1日の糖の摂取上限に対してどのくらいの量になりますか?

山田先生

WHOは、健康維持のために砂糖やシロップなどの後から加えられた糖分の摂取量を、1日の総エネルギーの10%未満(成人では約50g)に抑えることを推奨しています。より健康を高めるなら5%(約25g)未満が目安です。
これに対し、1本で約84gもの糖質を含む飲料は上限の1.7倍、理想的な基準の3.3倍以上にも達しています。すなわち、1日分として許容できる砂糖の量を、1本だけでオーバーしてしまう計算になります。数日分の砂糖を一気に摂取するのと同等です。

編集部

大量の果糖を一気に摂ると、肝臓にはどのような変化が起こるのでしょうか? 脂肪肝や尿酸値との関係も含めて教えてください。

山田先生

先述のとおり果糖はブドウ糖と違って、その大部分が肝臓で直接代謝されるという特徴を持っています。大量の果糖が一気に流れ込むと肝臓の処理能力を超え、余った糖は速やかに中性脂肪へ作り変えられます。
中性脂肪の蓄積は、お酒を飲まない人でも脂肪肝を引き起こす原因になります。また、果糖が肝臓で分解される過程で、副産物として尿酸が作られます。このため血中尿酸値が上昇し、痛風のリスクを高めてしまうことにもなります。
すなわち、大量の果糖を体内に流し込むことは、肝臓をフル稼働させ、中性脂肪と尿酸を過剰に作り出す状態を招きます。

編集部

一部の高糖質・強刺激飲料には、1本(600mL)あたり約60mgのカフェインを含む商品があります。コーヒーやエナジードリンクと一緒に飲む人も多いと思いますが、どのような点に気をつければよいでしょうか?

山田先生

60mgのカフェインは、コーヒー1杯分に相当します。一見多くないように感じますが、コーヒーやほかのエナジードリンクと併用すると、成人の1日の摂取目安量である400mgを超えてしまう可能性がある点には注意が必要です。
カフェインの過剰摂取は、動悸や不安感、不眠を招くだけでなく、大量の糖質と組み合わさることで脳を過剰に興奮させ、依存性をさらに強める恐れがあります。エナジードリンク感覚で何本も飲むことは避けたほうがよいでしょう。

配信元: Medical DOC

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