
「鑑賞する」では終わらない——作品の向こう側へ

展覧会に訪れても、その作品がどんな問題意識から生まれたのか、作家がどんな思考の末にその表現に辿り着いたのかを知る機会は限られています。
本展で会場に実装されるのが、アーティストAIエージェントプラットフォーム「egoGraphica」。作家本人へのヒアリング内容、作品情報、ステートメント、過去のインタビューなどを統合して構築された各アーティスト固有のAIエージェントです。鑑賞者は会場のモニターやスマートフォンから、自分の言葉で作品について問いかけ、制作の背景や思想に対話的にアクセスできます。
これは単なる作品解説のデジタル化ではなく、「見る」という行為を、「問いを持ち、作家の思考に触れ、自分自身の感覚を更新していく」体験へと拡張する試みです。
5人のアーティストが問いかける「ニュー」とは何か
本展のテーマに掲げられた「ニュー」という言葉は、単なる技術の新しさを意味しません。写真の発明が人間の知覚を拡張し、インターネットが社会の構造を書き換えたように、生成AI・VR・NFT・インタラクティブメディアもまた、表現の条件そのものを更新しつつある——そのような時代において、アートとアーティストの輪郭はどのように変わっていくのかを問うのが本展です。
参加するのは、異なるメディアと方法論を駆使する5名の作家たちです。
たかくらかずき / Takakurakazuki

アーティスト /1987 年生まれ。東京造形大学大学院修士課程修了。ビデオゲームやピクセルアート、VR、NFT、AIといったデジタル表現を用いながら、仏教などの東洋思想による現代美術のルール書き換えやキャラクターバリエーションの美学を探求しています。GINZA SIXのエントランス展示をはじめ、ニューヨークやメキシコでの展示など、国内外で幅広く活動しています。
小林健太 / Kenta Cobayashi

1992年、神奈川県川崎市生まれ。2015年、東京造形大学絵画専攻を卒業。現代写真・現代アートの領域で、フォンダシオン ルイ・ヴィトン(パリ)やルイ・ヴィトン、ダンヒルとのコラボレーションなど、ファッションとアートの境界を横断する活動で知られています。デジタル加工によってイメージの物質性を問いかける作風は、国内外から注目を集めています。
伊藤 碧 / Ao Ito

2012年 福岡生まれ福岡を拠点に活動する若手クリエイター/プログラマー。中学生でU-22プログラミングコンテストの最優秀賞(経済産業大臣賞)を受賞した俊才で、受賞作「F-gen」はフラクタル(自己相似構造)を生成するアプリケーション。数学的構造と芸術表現を融合させた表現を展開しています。
みょうじ なまえ / Namae Myoji

1987年生まれ、兵庫県出身2019年東京藝術大学絵画科油画専攻を卒業。身体・性・アイデンティティとその消費をめぐる問題を扱うインスタレーションで知られる作家。近年は「ナラティブ」の潜在的可能性に着目し、物語の形式を用いた作品制作に取り組んでいます。スパイラルや代官山ヒルサイドフォーラムなど、主要な会場での展示歴を持ちます。
斉木駿介 / Shunsuke Saiki

美術家。1987年福岡県生まれ。九州産業大学 博士前期課程 芸術研究科 美術専攻 修了。VRと風景の知覚をテーマにしたインスタレーションを中心に展開する美術家。横浜マリンタワーや京都岡崎 蔦屋書店など、ユニークなロケーションでの展示でも注目を集める福岡出身の作家です。
