血便は、痔のような肛門の病気だけでなく、大腸がんや炎症性腸疾患などでも起こる症状です。その一方で、何科を受診すべきか、大腸内視鏡検査にはどの程度の費用がかかるのかを具体的に把握できていない方も少なくありません。費用の見通しが立たないままでは、受診をためらう要因になることもあります。しかし、検査の種類や費用、公的制度を知っておくことで、早めに医療機関へ相談しやすくなります。そこで今回は、血便が出たときの受診先、主な検査費用、大腸内視鏡検査の流れと公的制度についてわかりやすく解説します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
まず何科を受診すればいい?受診先の選び方
血便が出たとき、最初に迷うのが「どの科を受診するか」という点です。原因がわかっていない段階では、消化器内科(しょうかきないか)を受診するのが最もおすすめです。消化器内科は胃・腸・肝臓など消化器全般を専門とし、血便の原因を幅広く調べることができます。大腸内視鏡検査などの精密検査も消化器内科で行われるため、最初からここを受診すると検査までスムーズに進めます。
「肛門のあたりが痛い」「排便のたびに鮮血が出る」といった場合は、痔(じ)の可能性が高いため、肛門科(こうもんか)・肛門外科を選ぶのもよいでしょう。かかりつけ医や一般内科でも初期対応は可能ですが、精密検査が必要な場合は消化器内科への紹介になるケースが多く、時間と費用の節約を考えると、はじめから消化器内科を受診するほうが効率的です。
受診先向いているケース大腸内視鏡
消化器内科原因不明の血便・腹痛を伴う・黒色便◎実施可能
肛門科・肛門外科鮮血が肛門付近に限局・排便時の痛みあり△要紹介
一般内科他の症状もある・かかりつけ医に相談△要紹介
救急・外来大量出血・激しい腹痛・意識の変化◎緊急対応
初診・基本検査の費用目安
血便で初めて病院を受診した場合、まず初診料に加えて、問診・視診・触診などが行われます。健康保険(3割負担)が適用される場合、クリニックでの初診費用は約850〜1,000円、病院では約1,700〜3,200円が目安です。なお、特定機能病院や地域医療支援病院(一般病床200床以上)を紹介状なしで受診した場合は、別途「選定療養費」が必要となります。費用は医療機関によって異なるものの、7000円以上かかることがあります。
その場で行われる基本的な検査には血液検査があります。血液検査では貧血の有無・炎症反応(CRP)などを確認し、必要に応じて腫瘍マーカーを測定することもあります。3割負担で約1,500〜3,000円かかります。なお、便潜血(べんせんけつ)検査は肉眼では確認できない微量の出血を調べる検査で、主に健診のスクリーニングとして用いられます。既に血便が確認されている場合は便潜血検査を行わずに大腸内視鏡などの精密検査に進むことがほとんどです。精密検査は別日に行われることが多いため、最終的な自己負担は複数回の受診費用を合算して考えてください。
検査・診療の種類内容費用目安(3割負担)
初診料(クリニック)問診・視診・触診約850〜1,000円
初診料(病院・200床以上)問診・視診・触診約1,700〜3,200円
※紹介状なしの場合、別途選定療養費が加算されます。
血液検査貧血・炎症・腫瘍マーカー等約1,500〜3,000円
直腸診・肛門鏡肛門・直腸の視診・触診約500〜1,200円
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。

