糖尿病は、血液中の糖が高くなる病気ですが、血圧とも深く関わっています。血糖値が高い状態が続くと血管に負担がかかり、そこに高血圧が重なると、血管へのダメージがさらに進みやすくなります。糖尿病と高血圧が重なると、心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる病気だけでなく、糖尿病性腎症や糖尿病網膜症の進行にも関係します。自覚症状がないまま進むこともあるため、日頃から血圧を測り、自分の数値を把握しておくことが合併症の予防につながります。
この記事では、糖尿病で血圧が上がりやすくなる理由や、合併によるリスク、日常生活で実践したい血圧管理のポイントを解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
糖尿病と血圧の関係

糖尿病と高血圧は関係がありますか?
糖尿病と高血圧は、密接に関係する病気です。糖尿病の患者さんは高血圧を合併することがしばしばあり、高血圧の患者さんでも糖尿病を伴うことがあります。どちらも、インスリン抵抗性や肥満、生活習慣など、共通する背景を持つことが少なくありません。血圧が高い状態が続くと、心筋梗塞や脳卒中、慢性腎臓病などのリスクが高まります。糖尿病の治療は、血糖値だけでなく血圧も併せて管理することが、将来の合併症を防ぐうえで大切です。
なぜ糖尿病になると血圧が上がりやすくなるのですか?
2型糖尿病で血圧が上がりやすくなる背景には、インスリン抵抗性があります。インスリンの効きが悪くなると、身体はより多くのインスリンを分泌します。インスリンが過剰になると、腎臓で塩分が再吸収されやすくなり、体内に水分や塩分がたまりやすくなります。また、高血糖は交感神経を刺激し、血管を収縮させることで血圧を上げる方向に働きます。肥満がある場合は、内臓脂肪の影響や睡眠時無呼吸症候群による低酸素も関係します。こうした要因が重なることで、糖尿病の患者さんは高血圧を起こしやすくなります。
高血圧が身体に与える影響を教えてください
高血圧が続くと、全身の血管に強い圧力がかかり、血管の傷みや臓器障害につながります。特に、腎臓や眼の網膜のように細い血管が集まる臓器、脳や心臓のように太い血管が関係する臓器は影響を受けやすい部位です。血管の壁が厚く硬くなる動脈硬化が進むと、血流が悪くなったり、血管が詰まったり破れたりしやすくなります。その結果、心筋梗塞や脳梗塞、認知症、慢性腎臓病などにつながることがあります。
糖尿病と高血圧が重なるリスク

高血圧により糖尿病が悪化することはありますか?
高血圧によって血糖値が直接上がるというより、糖尿病による合併症が進みやすくなることが問題です。特に糖尿病性腎症は、高血糖と高血圧が重なることで腎臓への負担が強くなります。腎臓のろ過機能に高い圧力がかかり続けると、蛋白尿やアルブミン尿が増え、腎機能が少しずつ低下することがあります。進行すると、末期腎不全となり人工透析が必要になる場合もあります。また、高血圧は糖尿病網膜症の血管障害にも関係し、眼底出血や視力低下につながることがあります。
糖尿病で血圧が高くなると心筋梗塞や脳卒中のリスクは高まりますか?
糖尿病の患者さんで血圧が高くなると、心筋梗塞や脳卒中のリスクは高まります。糖尿病は心臓や脳の血管の病気が起こりやすい状態であり、そこに高血圧が加わると、リスクがさらに重なります。特に、喫煙や脂質異常症、慢性腎臓病がある場合は、心筋梗塞や脳卒中につながる危険性がより高くなります。そのため、糖尿病の患者さんは、血糖値だけでなく血圧の高さもリスクを左右する要素として考える必要があります。

