●捜査機関の“リーク”にも違法性認めず
裁判では、静岡県警が男性の逮捕予定をSBS記者だけに伝えていた、いわゆる捜査機関による「リーク」の問題についても争点となった。
東京高裁は「捜査機関の報道機関に対する取材対応や情報提供のあり方として適切を欠くものではないかとの疑問を生ぜしめるものであることは否定できない」と一定の問題意識を示した。

一方で、次のように述べ、違法性は認めなかった。
「SBSが記者クラブに加盟する報道機関であることから、(逮捕に関する警察官の情報)開示は、SBSが報道することを前提としてされたものであり、開示が公益を図る目的でされたものであること自体は否定しがたい」
●原告側代理人「袴田さんの時代から変わっていない」
再審無罪が確定した袴田巌さんは、1966年の静岡一家4人殺害事件で、メディアから「犯人視報道」をされ、長年にわたり死刑囚として死の恐怖に晒され続けた。
今回の訴訟で原告側代理人をつとめる角替清美弁護士は、袴田さんの弁護団の一員として活動してきた経験から、事件報道のあり方に問題意識を感じてきたという。
この日の判決後、角替弁護士は次のように述べ、最高裁に上告する意向を示した。
「結局、大きな事件で逮捕されたら、逮捕の様子や実名を報道されるのはしょうがないということなのでしょう。報道機関が権力監視のために報道しているなら私も理解しますが、実際は権力監視と関係ありません。
裁判所はそうした問題に目を向けず、ずっとお題目だけを飾りにしてきた。だから、いつまで経っても袴田さんが逮捕された時と変わらない状況が続いていると思います」


